サイレント・ブレス

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  • サイズ B6判/ページ数 325p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784344029996
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

大学病院から、「むさし訪問クリニック」への“左遷”を命じられた37歳の水戸倫子。そこは、在宅で「最期」を迎える患者専門のクリニックだった。倫子はそこで死を待つだけの患者と向き合うことの無力感に苛まれる。けれども、いくつもの死と、そこに秘められた切なすぎる“謎”を通して、人生の最後の日々を穏やかに送る手助けをする医療の大切さに気づく。そして、脳梗塞の後遺症で、もう意思の疎通がはかれない父の最期について静かな決断を下す。

著者等紹介

南杏子[ミナミキョウコ]
1961年徳島県生まれ。日本女子大学卒。出版社勤務を経て、東海大学医学部に学士編入。卒業後、都内の大学病院老年内科などで勤務したのち、スイスへ転居。スイス医療福祉互助会顧問医などを務める。帰国後、都内の終末期医療専門病院に内科医として勤務。『サイレント・ブレス』がデビュー作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ウッディ

251
大学病院から在宅医療専門のクリニックに異動になった倫子は、病を治す事だけが医療ではないことを知る。末期癌の女性記者、筋ジスの若者、治療を拒否した医師を診るうち、最期の日々を穏やかに、そして有意義に過ごさせてあげるための医療があることを知り、意識ないまま命を長らえている父と向き合う。小さな謎解きを挟んだ医療小説は、知念さんを彷彿とさせた。患者が死を受け入れる時、それは諦めではなく、残された人生を精一杯生きることなのだ思いました。主人公の成長と共に読者の心を豊かにする良い小説でした。2019/05/30

いつでも母さん

196
ん~ん、興味深く読了した。長寿大国の行く末を憂う。次は私たちの番・・自分の最期くらい自分で決めておきたいなぁ。老いた母を抱える身でもあるので、どれにも心が寄り添ってしまう。看取る医師にもだ!(中の一つは子どもの人身売買の話だったので、日本よおまえもか?ありえへんと憤るが・・)そうなのだ、これからは看取り医療が大切だと思う。日本全国津々浦々、充実させてくれたら安心して逝けると思うなぁ。2017/05/12

kotetsupatapata

161
星★★★★☆ 終末期医療の話で色々と考えさせられる話です。在宅で死を迎えられる事は患者からすると本望なんだろうけど、介護する家族の負担を考えると果たして良いことばかりでしょうか? 『死=医療の敗北』と捉えず、『死んでいく患者も愛してあげてよ』とう大河内教授の言葉はズシリときました。 患者・家族・医師皆が納得する人生の終わり方というのはあるのでしょうか? 普段どうしても死というものをタブーにしてしまいがちなので、真正面から自分はどのように生きて死んでいくのか真摯に向き合いたい気持ちになりました2021/03/04

なゆ

153
もしも、〝死〟を意識せざるを得ない病、もしくは老いた時に、どういうふうにそこへ向かいたいか改めて考えた。現役の終末期医療の専門内科医である著者だからこその、いくつかの〝死〟を在宅で看取る医療がリアルに分かりやすく書かれている。「救うことだけを考える医療には、限界がある。看取りの医療もとても大切。」「死ぬ患者も、愛してあげてよ」「死は負けじゃない」ガン闘病の末疲れ果てて死んだ父を見ながら感じた疑問「そこまでしなきゃ死ねないのか」の答えを見つけられた気がする。ただ、近くにこういう医師がいればいいけど。2017/10/25

モルク

137
大学病院から在宅で最期を迎える患者を看る訪問クリニックに移った倫子。治すから穏やかに日々を過ごすことに重きをおく医療となる。そこには、人の数だけいろんな死があり、患者の思い、悩みそして看とる側の思い葛藤がある。最終章倫子が父の最期について決断を下し、その時を迎える場面では涙を抑えることができなかった。現役医師ならではのリアリティーと問題提起だった。これがデビュー作だそうだが、もっと読みたい、続編も書いてほしい。2017/02/09

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