内容説明
いつでも猫が自由に出入りできるよう開放され、家猫4匹に加えて、外猫、通りがかりの猫など、常時十数匹が出入りする吉本家。そこは、ツワモノ揃いの猫たちばかり。思想家の父・隆明が溺愛したフランシス子、ツンデレ捨て猫のシロミ、傍若無人のチンピラ猫トリオ、万年風邪っぴきのモテ猫レオ…。吉本家に集う人と猫のしたたかでしなやかな生態をハードボイルドに描いた、ユーモア&感動の名猫エッセイ!
目次
白猫の呪い
さらなる試練
野戦病院
獣医師の力量
それでもネコは出かけてく
モレるんです
欲の深い人間
集会に出る
薬・くすり
予想外です!〔ほか〕
著者等紹介
ハルノ宵子[ハルノヨイコ]
1957年、東京生まれ。漫画家(開店休業中)。父は思想家・詩人の吉本隆明、妹は小説家のよしもとばなな(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
70
自腹をきって野良猫を保護、避妊や怪我、病気の手当てをしているハルノさん、頭が下がります。 猫好きと言いながら、野良猫を触れない私です。 理想は地域猫として避妊をし続け、野良猫を増やさない、飼った人は捨てない。 猫には罪が無く、野良猫になるのは不可抗力なので、餌を与える人を頭ごなしに批難はできないし、かといって猫の嫌いな人もいる訳なので、難しいです。 しかし両親の介護、シロミの介護と、想像するだけで大変さにクラクラします。立派です。ただ、どうしても共感できなかったのが、猫を外に出す事です。 2015/12/02
miww
68
決して健康体ではない猫たちと関わり、面倒を見ている筆者。その淡々とした文章に猫たちの個性を尊重し命の営みを達観している人なんだという思いがした。「すごいな、動物は絶望しないもんな」「『歩きたい、食べたい、行きたい』それだけで、どんな障害をもった動物たちでも、ただ今日を生き延びているのです。」どんな状況をも受け入れ生きようとする猫たちの姿にいつも「生きる」という事の意味を教えられる。2016/01/03
yamaneko*
68
妹・吉本ばななさんが「猫界のマザーテレサ」と名付けるだけあって、外猫・軒猫への献身的なケアはとても真似できません。ネコの習性を配慮したポリシーは、ご近所の白い目に遭っても揺らぐことなし。ノラ猫がそんなに短命だと知りませんでした。可愛いイラストに添えられた文章は読み応え感たっぷり。生命の儚さについて考えさせられました。2014/09/19
Shimaneko
33
故・吉本隆明の長女による壮絶な猫介護日記。吉本家の家猫・外猫にまつわる和み系エッセイを想像してたら見事に裏切られ、「猫界のマザーテレサ」という妹ばなな評も頷ける傾倒ぶり。経済的に余裕がなきゃ到底無理だけど、反面それだけじゃここまでできないのも確か。彼女に出会えた猫たちは果報者だわ。2018/02/16
にがうり
33
著者は父親が吉本隆明、妹が吉本ばななの漫画家さん。定住猫、外猫、野良猫、どんだけ面倒を見て、見送ってきたのか。猫相関図と照らし合わせれば把握できそうだけど、やめておく。治療費も想像しただけでくらり。いや、すさまじい。でも、これが現実。猫マザーテレサか国境なき医師団かと思いつつ、あとがきの「アジア的な寺の役割」が一番しっくり。賛否両論あるだろうけど、飢えている者がいれば施す。来る者は拒まず、去る者は追わない。さらにご両親の介護とご自身の闘病(乳癌)まで。度量が違う。2017/04/10