内容説明
元禄十五年十二月十四日、大石内蔵助率いる四十七人の武士が吉良邸への討ち入りを果たす。「忠臣蔵」で知られるこの元禄赤穂事件。実は大石には、本隊がし損じたときに備えてもうひとつの秘策があった。仇討ち強硬派として知られていたにもかかわらず、突然脱盟した高田郡兵衛。高田をはじめとした残された者たちは、本隊の悲願成就後、大石の密命を担い、武士と人間の狭間を漂う苦悩に充ちた人生を歩むこととなる。
著者等紹介
森村誠一[モリムラセイイチ]
1933年埼玉県生まれ。青山学院大学卒業後、ホテルマン生活を経て作家活動に入る。「高層の死角」(第15回江戸川乱歩賞受賞)、「腐蝕の構造」(第26回日本推理作家協会賞受賞)、「人間の証明」(第3回角川小説賞受賞)など、数多くのベストセラー作品を著し、本格推理小説の世界で不動の地位を築く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジェンダー
44
忠臣蔵に関する本は全然読んだことがなかったのでこの本を読んで始めて知りました。この時代は戦がなく平和な時代。今も昔も権力に振り回されてるのは変わらないし平等、不平等もある。今回の場合浅野家の断絶。武士の場合は尚更文官では無い限り忠誠心は強い。大石内蔵助の下吉良を切りに行く事が正しかったのかどうかはわからない。ただ徳川幕府に対して反旗を翻すというか徳川幕府に間違っているというメッセージという意味ではすごいと思う。武士としては一緒に切りに行きたい。けど外されて悔しがる。内蔵助も誰を連れて行くか悩んだと思う。2015/02/06
ASnowyHeron
8
忠臣蔵の裏のこんな苦悩の世界も描けるのか。2023/09/28
BIN
4
高田郡兵衛を中心に描いた忠臣蔵サイドストーリー。本編とは少し違う生き方で、脱盟理由は第二陣としての控えを大石に託されたため。それに伴い旗本の内田家に婿入し、美しい嫁を得て初めて人間の幸せを感じる中、武士道への未練=武士の尾をひきずる苦悩の姿が描かれる。郡兵衛は関係ありませんが、討入の戦闘シーンもページを咲いて描かれ、吉良側の鳥居利右衛門、小林平八郎などの強者ぶりが描かれる。討入後の第二陣の動きも著者オリジナルだろうが描かれていて、読んでいてほんと武士道とは厄介なものだと思った次第。違う視点で面白いね。2019/01/19
mari
2
武士らしさと人間らしさの間で揺れる二人の男。身についた習慣って拭えないものなんだな、って思った。2012/02/05
b☆h
1
武士らしさと人間らしさの間で揺れる二人の男。身についた習慣って拭えないものなんだな、って思った。2012/02/05