内容説明
借金から逃れるため東京に来たタクシードライバーの姜英吉。ある夜、彼は不審な白いワゴン車を見つける。その中で行われていたのは練炭による集団自殺。数日後、唯一生き残った女性の姉・美津子が英吉を訪ねて来て、彼の生活は一変した。暗く深い闇を抱えた女性とすべてから逃げ続ける男の感覚は、次第に麻痺していく。そんなある日、彼は客の忘れ物である黒いボストンバッグを発見する。その中に、宝石、麻薬、そして現金2300万円があった。己の欲に突き動かされた人間達が群がり始め、互いに牽制し、欺き合うが…。梁石日が原点・タクシードライバーの日常、そして密室から起こる悲劇を描き切る、息もつかせぬ傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くろにゃんこ
4
家族・借金から逃げてタクシードライバーとしてその日暮らし。お酒と女と…欲望の赴くまま闇へと落ちていく話。這い上がるのは難しいのかな。正直、イラッとしてしまう・・・2012/01/04
鷹藤 森
3
梁石日氏の作品は「血と骨」に次いで2作目。 主人公の退廃的かつ刹那的な生き方の描写に圧巻され、気分が滅入るほど。2014/04/30
つけ麺部長
2
前半はタクシーネタ、後半は突発的な出来事ネタ。今までの過去の作品で描いた話がちらほらと出てくるので、梁先生のファンであれば既に知っていることと受け止められるのではないでしょうか。それでも、読み手をグイグイと引き込む手腕は流石に素晴らしいと思います!2017/12/23
だいすま
2
底辺中の底辺が集まる物語。。ひょんなことから大金と宝石を拾ってしまったところが運のツキ。余計に不幸になってしまうところが笑えない。 フィクションといえ、刹那的でアリ地獄のような生活送っている人っているんだろうなあ…と思う。変な表現だが、自身への戒めというか、反面教師になる作品だった。2015/11/29
鷹ぼん
2
★★☆ 作者の作品は『血と骨』以来。 全体的に黒岩重吾の西成ものの雰囲気を漂わせているが、黒岩作品がかもす、人生の行き場を失った人間の「すえた臭い」には程遠い。 終盤、香港が舞台になったあたりは割りと一気に読ませる展開だったが、そのほかは眠たい物語が延々と続いた。 某紙で桂文珍師が絶賛していたので期待したが、肩透かしを食らった、というところ。2008/09/30