出版社内容情報
長野県南部、天竜川上流域を中心に伝わり、国の無形文化財にも指定されている「コト八日行事」。優斗たちが暮らす地区では、二日間にわたるコト八日行事のすべてが子どもたちの手にまかされ、行われるのだ。コロナ禍で行事の開催自体があやぶまれる中、はたして優斗と仲間たちは、家々にすくう疫病神を祓い、無事地区境まで送ることができるのか? さまざまな困難に立ち向かい、自らの責任を懸命に果たそうとする子どもたちの姿を鮮やかに描く。
内容説明
長野県南部、天竜川上流域を中心に伝わる「コト八日行事」。厄災や伝染病をもたらす疫病神(コトの神)を祓い、地区境まで送りだすこの行事は、約四〇〇年にわたりこの地で伝承されてきた。なかでも、優斗たちが暮らす地区には、めずらしい風習が残っている。二日間にわたる行事のすべてが子どもたちの手にゆだねられるのだ―。さまざまな困難に立ち向かいながら、懸命に責任を果たそうとする子どもたちの姿を鮮やかに描きだす、成長と友情の物語。
著者等紹介
熊谷千世子[クマガイチセコ]
長野県生まれ。信州児童文学会会員。第19回小川未明文学賞優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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けんとまん1007
79
信州伊那谷地方の伝統行事の一つ、コト八日行事を題材にしたものがたり。子どもたちが執り行い、疫病退散を含む安全を願う行事。これによって、子どもたちが地域の一員としての役割を担い、成長していく。そんなものがたりが、登場人物のこころの変化や、お互いの関係性の変化や、大人たちとの関りのなかで綴られている。同じ地域社会の一員としての子どもたちと、それを見守り育む風土は、大切にしたい。2022/04/29
よこたん
50
“逃げたらだめだ、なにもはじまらん。踏みとどまってがんばれば、必ず道は見えてくる。仲間を信じて、できることを全力でやってみろ” 昔から続く、子どもだけの神送りの行事。寒い中の行列は、なかなかに過酷でしんどいし、こんなことやって何の役に立つの?そもそも神様なんているの?と、斜に構える気持ちもわかるなあ。困り事が迫ったとき、助けてほしいの気持ちとみんなで頑張ろうの決意が行動が、突破口を生むこともある。個人的には、神様はいると思うし、いてほしい。いてもらわないと困る(笑) 課題図書にしては、読みやすかった。2022/05/11
chiaki
35
2022年高学年夏の課題図書。長野県南部の地域で400年の歴史を持つ"コト八日行事"(コトの神=疫病神で、降りかかる疫病や災厄を地域から追い出す行事。)が題材。神様だなんて時代錯誤だと、この行事に後向きだった優斗。しかし友人柚月の祖父の大怪我や転校生宇希の転入の理由に触れ、頭取の補佐役として務めを果たそうとする。そんな中、頭取の凌さんがまさかの怪我。守るべき伝統行事の重み、コロナ退散への思い、その全てが優斗の肩にのしかかり…。優斗らの心の成長、困難に立ち向かう姿が頼もしく描かれている。感想が楽しみ。2022/04/25
ぷりん
32
子どもたちで行う行事は素晴らしい。そして、地域の子どもたちと力を合わせる、地域に根付く行事があることが、素敵だと思う。「信心をもって、がんばろうと誠実に努力する人間のことは、けして見捨てたりしない」この言葉に勇気がわいてくる。コロナよ、収束してくれ!!2022/09/10
しおり
27
長野 伊那で無病息災を祈る行事があるそうです。それは400年も続く祭事だそう。それを受け継ぐ子供たちの物語。冴えない小学6年優斗が面倒だと思っていた「コト八日行事」に責任をもって行く様子に子供の成長を思います。地域行事の伝統の重みと意味合い、住人との繋がり、それを感じていく子供達がとても頼もしい!。コロナ渦と絡めてあるのもタイムリーです。2022/05/30