出版社内容情報
ロシアの森深く、母親とオオカミたちと暮らす少女フェオ。ある日、残忍なラーコフ将軍が現れ、オオカミを保護した罪で母を連れ去ってしまう。少女はオオカミを連れ、元兵士の少年と共に、母を取り戻すため旅に出る。
キャサリン・ランデル[キャサリンランデル]
著・文・その他
ジェルレヴ・オンビーコ[ジェルレヴオンビーコ]
イラスト
原田 勝[ハラダマサル]
翻訳
内容説明
世界でいちばん勇敢で賢いオオカミが死んだ。だからわたしは、その分だけ勇敢にならなきゃいけない。この世にある勇気の合計がへってしまわないように―。
著者等紹介
ランデル,キャサリン[ランデル,キャサリン] [Rundell,Katherine]
1987年生まれ。アフリカ・ジンバブエで幼少期を過ごし、その後ロンドンに移住。2008年よりオックスフォード大学オール・ソウルズ・カレッジの研究員となり、現在は小説のかたわら博士論文を執筆中。自身二作目となる『Rooftoppers』(小峰書店より刊行予定)でウォーターストーンズ児童文学賞をはじめ、多くの賞を受賞。イギリス児童文学界の新星として注目を集めている
原田勝[ハラダマサル]
1957年生まれ。東京外国語大学卒。翻訳家。ヤングアダルト小説を中心に英語圏の児童書の翻訳を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mocha
99
舞台は100年程前のロシア。狼預かり人(貴族が飼いきれなくなった狼を野生に戻すという架空の職業)の娘が投獄された母を取り戻すために闘う。残虐な将軍や過酷な冬に立ち向う少女の力強さはジャンヌ・ダルクのようだ。雪原に翻る赤いマントや軍服の金ボタン、でたらめに塗られたガラスを通した窓明りなどとても映像美にあふれて美しい。狼たちの誇り高い姿にも胸が熱くなった。2018/11/28
ぶち
72
表紙の絵が忘れられないものとなりました。 赤いマントをひるがえしてオオカミにまたがって疾駆する少女、そして森の彼方にはロシア正教会の塔.....たいへん鮮やかで生き生きとし、物語のをよく表している絵です。白黒で描かれた挿絵の数々も美しく素晴らしいです。 物語はハラハラドキドキの冒険物語で、残酷な将軍やロシアの極寒の恐ろしさを感じながらも、人々や子供達との出会いに暖かい気持ちにもなります。2018/05/11
はる
59
ロシアの森の奥深く、「オオカミ預かり人」として暮らす少女フェオ。ある日、残忍なラーコフ将軍が現れオオカミを保護した罪で母を連れ去ってしまう。少女はオオカミを連れ、元兵士の少年イリヤと共に母を取り戻す旅に出る…。オオカミたちの荘厳な姿が美しい。そして、そんなオオカミと心を通わせる勝気な少女も魅力的。優しい少年兵とのやりとりもほのぼのとしていい。後半、子供たち中心のストーリーになるのはやや不必要な気もするが、終始ハラハラする展開。挿絵も美しく、楽しめた。2017/11/12
(C17H26O4)
50
表紙の絵を見た瞬間に白い雪の世界が大きく広がっていき、すっと物語の中に入り込んでいた。心はオオカミ預かり人のフェオとオオカミと共に、雪原や森を疾駆していた。理不尽に人々を捕らえては殺す残忍な将軍に母親を投獄させられ、シロを傷つけられ、ハイイロを殺されたフェオの、将軍に立ち向かうエネルギーが凄まじかった。物語は次第に政府に対する革命の話にまで膨らむ。だが、フェオの野性味ある純粋な勇気こそがこの物語の力だ。何種類もある寒さや空腹やオオカミのにおいや温もり、子供の頃のように想像を掻き立てられた。感想100冊目。2018/06/14
mntmt
23
勇気について、考えさせられた。2018/02/07