出版社内容情報
女子率100パーセントのフラダンス愛好会に集められた4人の男子高校生。その目的は男女混合によるフラガールズ甲子園出場だった! 震災から5年後の福島を舞台に描くとびきりの笑顔と涙の青春ストーリー。
古内一絵[フルウチカズエ]
著・文・その他
今中信一[イマナカシンイチ]
イラスト
内容説明
「ようこそ、フラ男子」藍色の垂れ幕が、ホールの後方の壁にでかでかと貼ってあった。天井の高い会場は、お年寄りたちでいっぱいだ。車椅子に座った人や、腕に点滴の針を刺したままの人もいる。その全員が、きらきらした眼差しでこちらを見ていた。自ずと穣の足に力がこもった―。宙彦と動きを合わせ、軽快なリズムに乗って、ステージの床を踏みしめる。
著者等紹介
古内一絵[フルウチカズエ]
1966年東京都生まれ。日本大学藝術学部映画学科卒業。第五回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、2011年『快晴フライング』(ポプラ社)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まちゃ
178
震災から5年後の福島の工業高校を舞台にフラ愛好会で「フラガール甲子園」を目指す高校生たちの青春ストーリー。震災で心に傷を負った高校生たちがフラを通して自分の気持ちに正直に生きようとする姿に好感が持てました。フラに取り組む男子高校生が主人公っていうのも新鮮でした。2017/02/13
takaC
145
図書館のYA本棚をスキャンしていてたまたま見つけて借りてきた本だが掘り出し物だった。震災5年後の福島の高校が舞台の部活モノ。構成要素がすべて意味アリ。いや、捨て駒キャラも何人かいたけどあまり気にしないでおこう。2017/05/31
fwhd8325
128
福島は、スパリゾートハワイアンズもあり、フラダンスとの関係は深い。そこの着目した、この物語は上手いと思いました。震災につては、避けて通れない中で、事故を起こした側、避難を余儀なくされている側の双方を偏らずに描かれていると思います。映像的な物語であると私も感じます。できることなら、矢口史靖さんを監督に実現できればと思います。2017/09/17
chimako
126
気持ち良く笑えて泣けるヤングアダルト。3月11日を前に生徒たちに読んでほしい一冊。福島県立阿田工業高等学校建築科デザイン専攻辻本穣(ゆたか)が主人公。水泳部をやめ、帰宅部となった高校2年生。ある日穣の前に黒髪の女子が現れてこう言った。「ねえ、フラ同好会に入らない?」その黒髪女子から逃げ回る穣。そうこうしている内にクラスに転校生がやって来た。帰国男子の超イケメン柚月宙彦(ゆづきおきひこ)。誰にでもおくさずものが言える、神対応の人気者。彼との出会いがフラとの出会いとなり物語は芯部へ。フラ、やりたくなる。2017/03/06
mocha
124
フラガールズ甲子園をめざす福島の高校生達の青春ドラマ。超絶イケメン帰国子女、巨体と痩せっぽちの一年生コンビなどキャラクターの面白さで笑わせつつ、震災が招いたさまざまな摩擦やひずみをも描いている。彼らは、お互いのことを深く知ろとしない。「家はどこ?」「家族は?」という何気ない問いも、罹災した街では相手を傷つけるかもしれないから。それぞれに思いを抱え、フラを通して歩み寄る姿がとてもいい。エピローグではこみ上げてくるものがあった。2017/02/27