内容説明
アラーの神が与えたもうた毎日の朝のように、その朝も、アリ・ババは山でまきを切っていた。とつぜん、地平線に砂ぼこりが立ちあがり、40人の盗賊の一団があらわれ、アリ・ババは木のなかにかくれた。この慎重な行動が、のちに彼の人生をゆるがすことになり、自分の家に血と暴力を導くことになると、アリ・ババは想像しただろうか?というのは、アリ・ババはかくれた場所から、すばらしい秘密を見ぬいたからだ。それは盗賊の盗んだ宝物を手に入れるための魔法の呪文だった。
著者等紹介
オルン,エムル[オルン,エムル][Orhun,Emre]
1976年北京生まれのトルコ国籍、フランス在住。リヨンのエミール・コール・デッサン学校でイラストを学ぶ。絵本の挿絵などで活躍。スクラッチボード(黒い塗布物を塗った板・紙をひっかいて描画する)の技法を好んで用い、全体にダークな雰囲気を持った独特の作風で高い評価を得ている
こだましおり[コダマシオリ]
1959年広島県生まれ。神戸市外国語大学等卒業後、広告制作会社勤務を経て、1989年渡仏し、パリ第3大学現代仏文学修士課程修了。在仏邦字紙の編集に10年間携わった後、フリーの翻訳家・ライターとして活動。児童書好きが高じてフランスの絵本・児童小説の翻訳を開始。パリ近郊在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小夜風
30
【図書館】アリ・ババのお話は子どもの幼稚園の発表会で見たことがあったのですが、こんなに残酷なお話だったんですね~。「開け、ゴマ」って小さい子にも覚えやすい呪文ですよね。これは大人向けの絵本ですが、子ども向けの絵本ではどう書かれているのか読んでみたくなりました。2015/06/30
かおりんご
22
絵本。アリババの話を読むのは初めて。「開けゴマ」は有名なセリフだけれど。こちらはちょっと大人向け。話は長いし、イスラムの言葉も出てくるので、一人読みには厳しいかな。アリババよりも、召使いの活躍が素晴らしい。2019/10/01
にゃこ
20
「アリババと40人の盗賊」だけど、主人公はマルジャーナじゃないの笑笑?一番活躍してるし、一番丁寧に描写されてるし・・・ にしても、絵が素晴らしいんですよ!すごい壮大で、丁寧で、重厚で、なんか絵本でここまで絵がすごいって思ったのは初めてです。絵本というより、画集みたいな感じさえします。2016/09/17
ヒラP@ehon.gohon
16
「アリババと40人の盗賊」の話は知っているつもりでしたが、エムル・オルンの重厚な絵で、その魅力を再確認しました。 作中のマルジャーナの活躍が浮き出されていて、大人も楽しめる絵本だと思います。 日本昔話やグリム童話では、善良な主人公と欲張りな兄の対極的な描きかたが通常ですが、イスラム教の一夫多妻制もあって不思議な感じがします。 本妻と兄嫁(2番目の妻)は仲良く暮らせるのでしょうかね。 物語は素晴らしいハッピーエンドなのですが、その後のマルジャーナも気になりました。2016/03/05
anco
8
「開けゴマ!!」のイメージしかなかったアリババを読み返してみました。主人公の兄は首を落とされ、40人の盗賊は片っ端から殺されていく、想像以上に殺伐とした物語でした。38人もの盗賊を1人ずつ冷静に黙々と殺すことができる女性はヤベー奴ではなく、洞察力と勇気がある人という評価をされるようです。敵にまわしたくはないものです。2017/12/21