内容説明
北アフリカのサエル地方に伝わる昔話。悪霊の荒れ野で生きねばならない貧しい一家。父親は荒地を開墾して麦を育てようと決意する。人間が自然の大きな営みの中でしたたかに生き抜く力強さを伝える絵本。
著者等紹介
ケミル,ナセル[ケミル,ナセル][Kh´emir,Nacer]
コルドバ(チュニジア)に生まれる。物語作家、画家、カリグラファー、映画監督。ポンピドー・センター(パリ)で作品が展示され(1980年)、映画Le Prince qui contemplaitは、カンヌ映画祭で上映された
オルン,エムル[オルン,エムル][Orhun,Emre]
北京に生まれ、ストックホルム、アンカラ、ベオグラード、ブリュッセル、オスロなど、世界各地で暮らす。建築学を学んだ後、Emile‐Cohl Illustration Schoolを卒業。多くの絵本の挿絵を描く
シマダカンゾウ[シマダカンゾウ]
宮城県に生まれる。フランス児童文学の研究、紹介に従事する
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
60
絵本。貧しい男が決心して「悪霊の荒れ野」を開拓する。草を刈り、石を拾い、土を耕す。男が作業をしていると悪霊たちが現れて「おまえは、そこで、なにをしている?」と尋ねる。男が答えると「まて!てつだってやる!」と姿を現し手伝ってくれる。順調に麦を育てた男だったが、ある日息子に仕事を任せたばかりに…。▽公共図書館では72に配架されていた。絵も内容も恐ろしく子どもにはトラウマになるかもなので、しかたありませんか。ふりがなあり。怖い。2020/02/20
紫陽花と雨
34
お友達の司書さんオススメ本。表紙が怖い。タイトルも怖い。当然中身も怖い。アフリカの昔話、貧しい男が自分の麦畑にしようと手を出した「悪霊の住む荒れ野」何か作業をしようとするとやってくる悪霊の決め台詞「まて、手伝ってやる」にハマる(笑)毎回止める妻の「だめよ、あんた!…」のくだり、言うこと聞かない夫。あーあるある。悪霊の挿絵の目とか表情が怖い!進撃の巨人を思い出す雰囲気。毎回倍数で増えていく悪霊の数も桁がすごい。当然ラストは…あーあぁ…。答えちゃいけない《お前はそこで何をしている?…いったい、なにを?》2019/03/10
gtn
33
刹那刹那の願いは、森羅万象の働きが手伝ってくれて、すべて叶えられる。いい願いも悪い願いも。2021/03/17
小夜風
31
【図書館】絵本だけどY・A対象。怖いのに惹き付けられる。これこそ悪霊に魅入られるということか…。もうやめて!って思っても止まらず、最悪の結末が待っていました。夢に見そう…。2014/12/02
cherry☆
27
エムル・オルンさんという方の絵で絵のタッチが素敵で、悪霊が怖いけど可愛く見えてしまい、図書館で思わず手に取った本。北アフリカ・サエル地方に伝わる昔話。「おまえは、そこ で、なにをしている?…いったい…なにを?」という地面の底から響く悪霊の歌声。何をしているか答えると「まて!てつだってやる!」と悪霊は言い、答えたことをそっくりそのままやってくれる。何をしているか、その答え方1つで良いと思われた悪霊が恐ろしい悪霊となり、次々と倍の数となって現れる。怖い。けれど、悪霊は常に言われたことをただ手伝っているだけ…2015/02/16