文学の森
この素晴らしき世界に生まれて

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  • サイズ A5判/ページ数 143p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784338174183
  • NDC分類 K913
  • Cコード C8393

出版社内容情報

主人公の里美は耳が不自由で聾学校に通っている。学校の帰りに必ず寄る所が県立の図書館。古いレンガ造りの建物で、その閲覧室の一番奥が、里美の特等席。館外持ち出し禁止の本で『死の谷の王女』というファンタジーが最近のお気に入り。その物語は母を救うために一人、死の谷の王女に会いに行く少女の話だ。里美は自分の生きていく場所が何処なのか、心を悩ましていた。そんな時、老女から本の朗読を頼まれるのだが……。   小学校高学年~

内容説明

少女は、なにを聴き、なにを見つめ、なにを言葉にして、自分の居場所を見つけたのだろう。薔薇の香り、秘密の物語。第2回日本児童文学者協会・長編児童文学新人賞受賞。

著者等紹介

福田隆浩[フクダタカヒロ]
1963年、佐賀県に生まれる。兵庫教育大学大学院障害児教育専攻。対馬の訪問教育、附属養護学校勤務等を経、現在、聾学校教諭として在職中。『この素晴らしき世界に生まれて』で、2003年第2回日本児童文学者協会・長編児童文学新人賞を受賞。長崎県在住

牧野鈴子[マキノスズコ]
1951年、熊本県に生まれる。熊本短期大学美術コース卒業後、デザインスクールでデッサンなど学ぶ。デザイン事務所勤務を経て、上京、現在に至る
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ゆか

52
すごく良かった。聾学校に通う里美は、学校帰りに図書館で「死の谷の王女」という本をおばあさんから読んでという頼みを断れず、苦手な朗読をすることになり…。好きなところ 図書館の怖いと思っていた山本さんが実は生まれつき無愛想で直そうと頑張っていたというところ。話してみないとわからないというエピソードがいい。「居場所がないのなら作ればいいのです。あなたが望むのならば世界中のどこにだって、あなたのお気に入りの場所ができるでしょう。あきらめないこと。夢を捨てないこと。自分を信じること。」おばあさんの言葉です。2016/01/11

ぶんこ

41
聴覚障害者の里美さんが、県立図書館で巡り合った1冊の本。 同じ障害を持つ作家さんの本でした。 その本を図書館に寄贈した元小学校教師のお婆さんには、やはり聴覚障害の娘さんがいました。 聴覚障害を持つ本人と、その家族の、切ない思いが伝わってきます。 以前、手話を習っていたのに、簡単な「終わり」が分からなくなっていて、ショックでした。 2014/10/20

はる

37
おすすめの児童文学です。とても暖かな読後感。耳の不自由な少女。耳が聞こえないことでときには家族でさえ意思疎通出来ず、自分の存在を信じられません。そんなとき、図書館で不思議な老女と、魅力的な本と出合います。少女の悩みや苦しみが健常な人に伝わらないのが切ない。ときには怒りを感じましたが、では自分はどうなのだろう。2014/01/12

anne@灯れ松明の火

22
読友さんご紹介。福田さん2冊目。耳の不自由な少女・里美の話だが、彼女が図書館で見つけた『死の谷の王女』という本の話も同時進行し、どちらも先が気になって、ページをめくった。家族とも思うように意思の疎通がはかれず、歯がゆい思いや諦めを感じている里美。前述の本、そして不思議な老女と出会い、悩み、迷いながらも、彼女は大きく変わっていく。これからも大変なことはたくさんあるだろうけれど、きっと乗り越えていくのだろうな。里美と同じ悩みを抱く子、またその家族にも読んでみてほしい。勿論、それ以外の多くの人にも!2014/01/26

Naomi

19
聾学校に通う小学6年生、里美の物語。図書館で出合った『死の谷の王女』という本を丁寧に読みながら、里美の日常が進んでゆく。耳が聞こえないことで抱えている淋しさ、不安が伝わってくる。図書館で出会ったおばあさんとの交流に、心があったかくなる。作者さんは、聾学校教師とのこと。彼の作品、もっと読んでみたい。2014/02/11

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