内容説明
寂しい大人になりたくない、と美鈴はいう。バカな大人になりたくない、と達彦はいう。「じゃあ、ぼくは、どんな大人になりたいのか」当然のことのように、樹に答えなんかみつからない。地方都市の小さな町の中学校に通う、幼なじみの三人組。この町を根城に、樹の父は風俗営業店を経営し、大金を儲けまくる。大人社会の汚さを見せつけられながらも、その大人に着実に近づいていく自分。迫ってくる高校受験。愛とは、生きるとは、人生とは―自分探しの旅はつづく。小学校高学年以上向き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sk4
20
自分の将来が見えない。鑑にしたい大人が周りにいない。そういうもどかしさにイラつきを感じる子供たち。『西の魔女が死んだ』にも通じるテーマ。 でも『西の・・』もこの話も共に、色々生きてきて経験値が上がった大人の自分が読むから感動するのであって、年配者に関わったことが無い子供や、生活のために汚れ仕事をしてる人に接したことが無い子供が、いい話だなと実感できるかどうか。 【児童書】として大人目線で子供に押し付けるんだったらそれは、大人のマスターベーションだと私は思う。 この本は子を持つ大人が読むべき読み物です。2012/10/11
はるき
16
期待よりずっと面白かった。進路とか友情とか、根源的な家族問題とかもろもろ摘みこんだ「あさの流煮込み」中学生を主人公にしても甘くない世界観が大好きだ。未だ、きら星みたいな未来は見えない。けれど確かに今ここで息をしており、これからも生きていくのだ。キラキラしたプリズムと底の無い真暗な沼。その両方が同時に見えるのは、若者の特権である。2015/05/10
読み人知らず
2
殴られたいと思ったりとか、大事なものを馬鹿にされて我慢できない気持ちとか。 2007/06/20
tomo
1
中学2年って難しいお年頃なんだろうな。子どもから大人になっていく。ちょっとしたことにこだわったり、ぶつかったり、悩んだことも無駄ではないんだよね。2012/10/07
鷯
1
作品の中で不条理が不条理のまま回収されず、どこか胸にモヤモヤしたものが残って、ささくれだった読後感。2011/05/12