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狂気の巡礼

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  • サイズ B6判/ページ数 326p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336060747
  • NDC分類 989.83
  • Cコード C0097

出版社内容情報

日常に侵された脳髄を?きくすぐる名状しがたい幻視と惑乱。冥境から降り来たる歪形の奇想14篇。類なき怪奇幻想譚、待望の邦訳。日常に侵された脳髄を?きくすぐる、名状しがたい幻視と惑乱。冥境から降り来たる歪形の奇想。ありふれた想像を凌駕する超越的感覚と神経症的筆致で描く14の短篇。〈ポーランドのラヴクラフト〉による類なき怪奇幻想小説、待望の邦訳。

壁が包囲する入口のない庭園。漂う薔薇の芳香には、ある特別な《におい》が混じっていた。「薔薇の丘にて」
神経科医のもとへ診察を受けに訪れた精神病理学者の妻。彼女が打ち明けた夫の驚くべき秘密とは?「チェラヴァの問題」
筆を折り蟄居する作家を見つめる無人の向かい家からの不穏な視線。著者の自画像ともいうべき怪作。「領域」

装幀:小林剛 装画:榮真菜

薔薇の丘にて
 薔薇の丘にて
 狂気の農園
 接線に沿って
 斜視
 影
 海辺の別荘にて

狂気の巡礼
 灰色の部屋
 夜の宿り
 兆し
 チェラヴァの問題
 サトゥルニン・セクトル
 大鴉
 煙の集落
 領域
 
  訳者あとがき

ステファン・グラビンスキ[ステファングラビンスキ ]
1887年、オーストリア=ハンガリー帝国領ガリツィア・ロドメリア王国のカミョンカ・ストルミウォーヴァに生まれる。ルヴフ大学でポーランド文学と古典文献学を学び、在学中に作家デビューするが、卒業後は教職に就く。1918年に短編集『薔薇の丘』、1919年に連作短編集『動きの悪魔』を発表し注目を浴びる。短篇を本領とし、『狂気の巡礼』『不気味な物語』『火の書』『情熱』といった短編集を次々と出版した。ポーランド文学史上ほぼ唯一の恐怖小説ジャンルの古典的作家。1936年に死去。近年、国内外で再評価が進み、〈ポーランドのポー〉〈ポーランドのラヴクラフト〉として知られる。

芝田文乃[ シバタアヤノ ]
1964年、神奈川生まれ。筑波大学芸術専門学群卒業。ポーランド語翻訳者、写真家、エディトリアル・デザイナー。1992年より東京、クラクフなどで写真展開催。訳書にレム『高い城・文学エッセイ』『短篇ベスト10』、コワコフスキ『ライロニア国物語』(いずれも共訳、国書刊行会)、ムロージェク『所長』『鰐の涙』(未知谷)、グラビンスキ『動きの悪魔』などがある。

内容説明

“ポーランドのラヴクラフト”による類なき怪奇幻想小説。日常に侵された脳髄を掻きくすぐる、名状しがたい幻視と惑乱―冥境から降り来たる歪形の奇想14篇。実体化する思念の蠢き。ありふれた想像を凌駕する、超越的感覚と神経症的筆致で描く14の短篇、待望の邦訳。

著者等紹介

グラビンスキ,ステファン[グラビンスキ,ステファン] [Grabi´nski,Stefan]
1887年、オーストリア=ハンガリー帝国領ガリツィア・ロドメリア王国のカミョンカ・ストルミウォーヴァに生まれる。ルヴフ大学でポーランド文学と古典文献学を学び、在学中に作家デビューするが、卒業後は教職に就く。1918年に短篇集『薔薇の丘にて』、1919年に連作短篇集『動きの悪魔』を発表し注目を浴びる。ポーランド文学史上ほぼ唯一の恐怖小説ジャンルの古典的作家。1936年に死去。近年、国内外で再評価が進み、“ポーランドのポー”“ポーランドのラヴクラフト”として知られる

芝田文乃[シバタアヤノ]
1964年、神奈川生まれ。筑波大学芸術専門学群卒業。ポーランド語翻訳者、写真家、エディトリアル・デザイナー。1992年より東京、クラクフなどで写真展開催(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

121
短編集。狂気の度合いが吐き気をもよおすほどで、特に2作目の「狂気の農園」は読んだことを後悔した。半分を残して終了。2017/01/20

HANA

69
ここではない世界の影響が、か細く残響のように響いている。先に読んだ『動きの悪魔』とはまた趣が違って、静謐ともいえるような作品が多かったように思えた。個人的に好きな暗示だけで何かが起こっているのがわかるという作品も多く「狂気の農園」「海辺の別荘にて」「兆し」等は特にそれが顕著。とくに「狂気の農園」は狂気に取り込まれている様子が真に迫り『シャイニング』の父親バージョンみたい。強迫神経症じみた「接線に沿って」も、暗示が示す様子に息苦しくなりそうであったし。薔薇の香りの中、巡礼するような贅沢な一冊であった。2016/10/13

かりさ

66
夏の微睡む白昼夢に包まれるような、幻想の中に現れる狂気。庭園や館、廃墟など空間や場所に絡みつく残された情念の深さが、登場人物たちの深層的な思いに触れて化し、やがて狂気と破壊に導いてゆく。怪奇の中に匂いたつ狂気と死の耽美に何度でも酔います。‪2019/01/19

さっとる◎

44
白い狂気の短編14。暑い夏に狂い咲く薔薇のむせかえる匂い。白濁する煙に覆われた視界。ここにいる人、ここにいる人がここに「いた」人になること、ここで思うこと、ここで思うことがここで「思った」ことになること。狂ってなんかいない、ただ全部、全部ある。過去からの呪いに絡めとられて、残る思念に囚われて、それが自分に入り込んできたら、かつて自分だったものが遠くなった。現実だと認識する同じ次元に彼岸をみる狂気の文章はどうしようもなく美しい。2018/07/24

りつこ

43
残虐な事件があった場所に人間の残酷さや情念が残り、そこに居合わせたひとを巻き込んでいく。繰り返される絶望のイメージに、もうやめてー!と叫びたくなるほど。何度となくもう読むのやめようかなと思いながらも、読むことをやめられない。なにか恐ろしいものが潜んでいるかもしれないと怯えながらも立ち止まらずにはいられないように、のぞきこまずにはいられないように、最後まで読んでしまった。正気と狂気の境目はほんとに薄くて、自分もいつそちら側に引っ張られるか分からない。そんな読後感。2017/02/01

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