ミステリウム

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  • サイズ B6判/ページ数 315p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336053183
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

小さな炭坑町に水文学者を名乗る男がやってくる。だが、町の薬剤師の手記には、戦死者の記念碑や墓石がおぞましい形で破壊され、殺人事件が起こったと書かれていた。語り手である「私」は、行政官の命により、これらの事件を取材することを命ぜられるが、その頃、町は正体不明の奇病におかされ、全面的な報道管制が敷かれ、人々は次々に謎の死をとげていた。真実を突き止めようと様々な人物にインタビューをする「私」は、果たしてその真実を見つけることができるのか…。謎が謎を呼ぶ、不気味な奇想現代文学ミステリの傑作。

著者等紹介

マコーマック,エリック[マコーマック,エリック][McCormack,Eric P.]
1938年スコットランド生れ。現在はカナダ在住。マニトバ州ウィニペグのセント・ジェローム大学教授

増田まもる[マスダマモル]
1949年宮城県生れ。早稲田大学第一文学部中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

166
お薦めには難のある作品だがabsintheは大満足。『薔薇の名前』や『フーコーの振り子』のような現象と解釈の迷宮。人は現象を理解できないから何らかの解釈を持ち込むが、どのような解釈も結局は現象をゆがめてしまう。ミステリ読者が満足する結論には至らない。むしろ、どのような解釈にも満足するな!が本書のテーマなのだから。「真実を語るのが可能なのは、あなたがあまりよく知らないときだけ」現象と解釈、本質はどっちか?雨と霧の森の中の小さな町。解決に近づくほどに霧が濃くなっていく感じが楽しめるか。そこが分かれ目。2023/08/04

(C17H26O4)

80
何とも不思議な感覚。結末云々ではなく読んでいること自体が面白かった。正体不明の奇病に冒された霧の炭鉱町で起こる奇妙な事件を調べる新聞記者と視線を一緒にし、町を歩く。事件に関する住民の怪しい手記を読み、人々に話を訊く。細菌に冒されて多幸感に包まれながら死ぬまで喋り続ける人々の話は謎に満ちている。見落としがないよう細部まで注意を払いながら読み進めるも、何かが明らかになっていく気配が一向にない。濃い霧の町で記者が手記の中に取り込まれていくような物語、に自分が取り込まれていくような不気味な感じがあった。2021/12/16

アナーキー靴下

72
狂気に囚われた人物が出てくることはあれど、筆致は病むことなく乾いている。死や暴力を描写しながらも嗜虐趣味は感じられず、ふてぶてしいほど平坦でゆるがない日常に重ね合わさる脆さを愛おしむよう。「真実を語るのが可能なのは、あなたがあまりよく知らないときだけよ」どれだけ開放してもなお残る謎。いや、開放すればするほど生まれてゆく謎。ミステリウム・ミステリオルム。声の脆さで過ったのだが、マコーマックの、煙に巻かれるのがわかりながらもどんどん深みにはまりたくなる感じは、デイヴィッド・リンチ監督作品の雰囲気に近いかも。2023/07/24

財布にジャック

72
こりゃまた、凄い作家さんに出会っちゃったようです。どんな内容か全く知らなかったせいもあり、引き返すことの出来ない迷路に閉じ込められてしまったような感覚でした。そしてこの本の毒気に当たってしまったようで胸が苦しいです。普通のミステリーの場合オチが解ってしまえばスッキリするものなのですが、この作品の場合はオチを読んでも、何故か立ち直れません。文章としては読み易いのに、とても難解な異色なミステリー(ちょっとホラー風味なのかも)でした。2011/08/31

coolgang1957

54
もう!慣れてない外国の本なんか読むから、図書館の締め切りがギリギリになってしもたやん😅村上春樹もびっくりのメタファーが散りばめられて、解読に四苦八苦😓舞台も何処か、スコットランド辺りかって炭鉱と天気で予想(どうやら当たってたらしい)結局なんの匂いやったんやろ。これも暗喩かな。マックスウェルくんが選ばれたんは、なんか関係してるんやとは判ったけど本人は気づいてなかったようです。まぁそんなこんなで感想もはちゃめちゃです🤣謎が解けたのかは微妙です。ただ事件にしたかった人は手記書いたあの人ですかね。一応完読。2021/07/19

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