感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな（灯れ松明の火）
67
この本において「両性具有」とは、両性という意味もあれば、生まれついての性とは真逆に変化した者を指せば、異性装、同性愛、若しくはジェンダーが定めた精神や能力とは逆に生きる者をも差す。収録作品を読む内に人間社会に生きるのに性/ジェンダーで縛られ、「私は私」と生きられない不自由が透けるようだ。「サンギュエリ城」は夢を殺し、俗世に生きる事を決めた騎士と夢を捨てずに、生/性をも超越した境地に至る姫の対比が鮮烈な哀愁を帯びている。「ﾑｰﾗﾃﾞｰｳﾞｧと性転換の秘薬」は愛する姫に逢う為に性転換する筋書きの先見性に驚く。2023/06/25
ペグ
26
バルザック(サラジーヌ）を再読。サラジーヌの美への憧れとザンビネッラへの熱情。外見の完璧な美しさへの圧倒的な傾倒。美と残酷さに満ちた物語だった。2016/03/02
bookends
2
私の考える両性具有のイメージは天使だった。性を超えた崇高さの中にある、男女双方の清廉な魅力。ところがここに現れるものの多くは単性者よりいっそう生々しく性のにおいを滴らせ、男女双方に対して性フェロモンを発する怪物的な誘惑者（としてまなざされるもの）である。また、両性具有とは言うものの、一方から他方に変わったり、一方と見えたものが実は他方であったりするだけのものが多く、かえって男女二分法のかなしみを思い知らされる。人間ってもっとあたり前に両性具有なのかと思っていたよ。2012/07/11
ふゆきち
1
純粋なアンドロギュヌス物はそう多くはありません。『ルツィドール』、『あるスキャンダル事件』、『サラジーヌ』がそれぞれ異なった観点で広義の両性具有を扱っており、どれもいい雰囲気でおすすめです。オチはわかりやすいですが。2020/09/14
まりこさん
1
修論用。2014/04/24
