無声映画芸術の成熟―トーキーの跫音1919‐1929

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  • サイズ A5判/ページ数 2冊(通/高さ 23cm
  • 商品コード 9784336034526
  • NDC分類 778.2
  • Cコード C0074

内容説明

1927年10月6日の『ジャズ・シンガー』のプレミアは、ワーナー・ブラザーズ社にとって勝利だった。観客は歌を鑑賞した。唇の動きが歌詞と一致し、オーケストラの調子が損なわれることもなかった。アル・ジョルスンが老いた母のほうを向いて短い言葉を言った時、この映画は熱狂を巻き起こした。ニューヨーク中が、そのあとアメリカ中が、撮影中に思いついた“You ain’t heard nothing yet!”という台詞を聞くために殺到した。トーキーの跫音が近づく1920年代、世界の映画は多様な試みを発展させていく。アメリカでは、フラハティが『極北の怪異』で大成功を収めドキュメンタリーというジャンルを確立する。フランスでは、リヒター、レジェといったアヴァン=ガルドの作家たちが登場し、クレールやルノワールが映画の世界に名乗りをあげる。デンマークではドライヤーが『裁かるるジャンヌ』を撮り、ドイツでは巨匠ラングに続くパプストがウーファ社の主要な監督となり、ソ連ではプドフキンとドヴジェンコがデビューを飾る。一方、産業としての映画を制覇したハリウッドでは、ルビッチュ、スタンバーグ、ムルナウといった外国人監督が活躍し、トーキー時代を担う若き監督たちが育っていく。「映画の発明」「映画の先駆者たち」「無声映画芸術への道」「無声映画芸術の開花」の各巻に続き、映画の歴史を精緻に再構成する最大最良の映画史、ついに完結。

目次

1 ロバート・フラハティとドキュメンタリー映画
2 フランス映画1925‐1929
3 カール・ドライヤーの展開
4 一九二七年の危機からトーキー到来にかけてのドイツ映画
5 一九二〇年代末のアメリカ
6 プドフキンとドヴジェンコのデビュー、一九二六年から三〇年にかけての映画
7 トーキーの到来