内容説明
天の鏡、神の鏡、魔法の鏡、アルキメデスの鏡、アレクサンドレイアの燈台、鏡占い、人工の幽霊―神話から現代の太陽炉まで、様々な鏡の科学と伝説を博捜した驚異の書。
目次
反射光学博物館
天の鏡
神の鏡
アルキメデスの鏡
アレクサンドレイアの燈台の鏡
ピュタゴラスの鏡
魔法の鏡
人工の幽霊
濫用・錯誤・まやかし
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
鏡は他の世界への入口であり、反転像を自己と錯覚させ、錯覚した自己像を世界に投影するハブとなる。鏡の「科学的伝説」と称する本書は魔術と光学の2領域を交差させる。「アルキメデスの鏡」に関する古代科学の資料を膨大な例証で網羅する一方、「アレクサンドリアの灯台」に生じる科学的現象が歪曲されて伝説化する過程を追う著者は、鏡を真偽の区別を誘発する契機として読者に示唆する。鏡はイメージを作り、イメージは言葉に乗って世界を作る。そうやって世界と鏡の向こうの世界を行き来する人に対して、世界は一つではない、と鏡は囁き続ける。2019/06/12
あかふく
3
バルトルシャイティス著作集全て読了。この人のすごいところは、『鏡』について訳者谷川渥が述べる「即物的」書き方を行いながら論を組み上げていく手際で、本当に胡散臭いものからちゃんと「正しい」ものまで全て引いてくるというのが、なんというかおぞましさすら感じるすさまじさ。果たしてここに紹介される資料のどれくらいが本邦で読めるのだろうか・・・。2012/03/25