内容説明
神話の時代から現代へ…、日本語表現を考える。
目次
第1章 芸術言語論の入口(芸術言語論までの道のり;表現転移論のポイント ほか)
第2章 芸術的価値の問題(価値論とはなにか;芸術言語の価値について ほか)
第3章 共同幻想論のゆくえ(国家とはなにか;「人間」を捨象した「政治と文学」論 ほか)
第4章 神話と歌謡(神話と朝廷;天皇制はどこへゆくか ほか)
第5章 若い詩人たちの詩(若手詩人の詩は「神話」に使えない;「無」に塗りつぶされた詩 ほか)
著者等紹介
吉本隆明[ヨシモトタカアキ]
詩人・思想家。1924年、東京・月島生まれ。東京工業大学卒。詩集『固有時との対話』『転位のための十篇』などで詩人として出発する一方、文学者の戦争責任論で論壇に登場。以降、言語論、思想論など人間の全幻想領域への原理的、歴史的な解明に向かう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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amanon
10
概ね興味深く読めたけれど、どこか新味に乏しいというのが、正直なところ。既存のアカデミズムに囚われない自由な発想や論考というのは、魅力的ではあるけれど、やはりエヴィデンスベースドという観点からすると説得力に欠けるのは否めない。そこは本人も自覚してあえて戦略的にやっており、それが売りでもあったのだろうけれど、今後検証が必要なところという気がする。とりわけ興味深かったのは、やはり最後の現代詩論か。この時代にあれだけの詩人が存在しているというのがまず驚き。また、その詩人達に自然が欠落しているという指摘も新鮮。2020/06/30
amanon
6
本書を登録するまで、既読書と言うことに殆ど気づかなかった(笑)。しかも、その印象は初読のときとほぼ変わらず(苦笑)。やはり、とりわけ興味深く読めたのは、最後の現代詩論というのも同じ。現代詩という一見ニッチなジャンルで創作活動を行なっている人が意外と多いのにちとびっくり。ただ本書が出たのが十数年前なので、また状況は変わっているのだろうけれど。それから、『源氏物語』の文学性を認めながらも、「退屈」と切り捨ててしまっているのには、ちと違和感を覚えたが。確かにそういう側面があるが、それでも十分面白いと思うが。2023/12/24
yamikin
6
若い人ほど吉本隆明に触れるべきだ。詩を書かない者ほど彼の文芸批評に触れるべきだ。ある主張は論理的であるがゆえに説得力を持つものでは決してないことに気付かされる。文を追うという意味では速攻で読めるが、本当に「読めている」のかが不安で仕方がない本。2011/06/27
ophiuchi
1
共同幻想論を読んで興奮した昔を思い出した。でも文学論も含め、述べられていることは案外普通に感じた。自分の感性が変わったってこと?2010/08/04
水森
0
今の20代・30代には、過去も未来も、もしかすると現在すらなくて「無」である、という部分に撃ち抜かれた気がした。全くもってその通りな自分がいる。もっと、もっとゆっくり色んなことを考えたり触れたりする時間が欲しいのに、時代の速度がそれを許さない。2015/09/21