内容説明
30年続いた鹿間四重奏団は、最高のメンバーで円熟期という名の終焉を迎えていた。静かな包容力でカルテットを支えるチェロの伊井山。奔放な紅一点・ビオラの遼子。妖しげな美貌を誇るセカンドバイオリン文字相馬。老いてなお、禍々しいまでのエネルギーに満ちるファーストバイオリン鹿間五郎―。その鹿間四重奏団最後の日。違う場所、交わることのない世界でそれぞれの日々を生きる人々が、同じホールに向かう。ばらばらに生きる人々の人生が鹿間カルテットの音楽という横糸を得て、繊細なレース模様のような物語を紡ぎだす。胸をうつ語りと調べに彩られた、人生模様。
著者等紹介
小池昌代[コイケマサヨ]
1959年東京生まれ。詩人として『永遠に来ないバス』など多くの詩集を発表。2001年『屋上への誘惑』で第一七回講談社エッセイ賞受賞。07年「タタド」で第三三回川端康成文学賞受賞。10年、インドのコルカタへの旅から生まれた詩集、『コルカタ』で第一八回萩原朔太郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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