内容説明
青春小説の金字塔、島田雅彦『僕は模造人間』(86年)、山田詠美『ぼくは勉強ができない』(93年)。偉大なる二作に(勝手に)つづく、00年代の『ぼくは~』シリーズとも言うべき最新作!「本が好き!」連載中に大江賞を受賞したことで、ストーリーまでが(過激に)変化。だから(僕だけでなく)登場人物までがドキドキしている(つまり落ち着きがない)、かつてみたことのない(面白)不可思議学園小説の誕生。
著者等紹介
長嶋有[ナガシマユウ]
1972年生まれ。東洋大学2部文学部国文学科卒。2001年「サイドカーに犬」で第92回文學界新人賞を受賞してデビュー。2002年「猛スピードで母は」で第126回芥川賞受賞。2007年『夕子ちゃんの近道』で第1回大江健三郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
62
☆5.0 図書室に集う図書部の高校生たちの青春小説。 この小説は、「のんびり」としたシューティングゲームだ。 「スペースインベーダーゲーム」のようなハラハラ・ドキドキゲームではない。 ただ時折敵母艦のUFOが出現し、これを撃ち落とすとボーナス得点を獲得できる。 この「UFO」の出現度合いとその意外性が絶妙で、 このゲームクリエイターの稀有な才能に惚れ込んでしまうのだ。2020/12/05
アマニョッキ
62
きたるべき日にむけてぼちぼち再読中。今回はカバー裏も楽しめる単行本の方で。「誰かに会いたければ、とりあえずただノックすればいいんだよ。ほとんどの場合、会ってくれないかもしれないけど、世界にノックだけはできる。」この言葉が今のわたしに沁みわたる。泣いちゃうよー。ああほんとうに心から好きになった作家さんが長嶋有さんでよかった。それだけでわたしの人生めっけもんだわさ。2019/06/11
おくちゃん🌸柳緑花紅
56
図書室、図書部の部室には紅茶があう。高校図書部員達の日常を描く。格好いい男の子を見ると好きにならなかった。その人になりたいって思った/恋愛は読むもんじゃなくてするもんだよ/昔、学校図書館で借りた本、図書カードに好きな先輩の名前。ドキドキした事を思い出す。それにしても片岡哲生気になる。大人になりかけの世代、あと少しでまた違った世界が見えてくるよ! 2014/08/04
takaC
49
律儀に最後まで読んだけれど、「まんまと読まされた!」って感じ。イベントらしきイベントは何も起こらないごくありふれた高校生たちの学校生活の日々。数々の疑問も続々と沸いて出るけれど何も解決はしない。しかし、没頭した。図書館本のため、残念なことに表紙カバーが外せない。隙間から覗くと、図書部員たちのその後が書いてあるみたいなのに、中山望美とナス先輩の一部しか読めない…2011/07/23
りつこ
40
文化部独特の空気がリアルに伝わってくる。「部室」という場所があるからこそ集まるメンバー。特別親しいわけでも会話が弾むわけでもないけれど、学校の教室で居心地の悪さを感じる人たちの避難所。主人公の望美は、誰もが何かの役を演じてるように感じ、定型文的な会話に感じる安心感と違和感を感じている。特別輝いたり涙があったりするわけじゃないけれど後から考えればあれが青春だったと思うのだろう。本を人に勧めるのは違うとか「本は役に立つ!」とか「この世界では時々正しい方じゃなく格好いい方が勝つ」とかぐっとくる一文があった。2020/11/26