薩摩スチューデント、西へ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 429p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784334925437
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

1865年、薩英戦争後の薩摩藩、攘夷の不可能を悟った薩摩隼人たちは、海を渡る決意をする。刀を捨て、髷を切り、洋服を纏って牛肉を食らう…西洋文明に全身を浸しながら、本当の愛国心を見つめ続ける彼ら 世界の発展と混沌を目の当たりにし、その体験のすべてを近代日本の形成に注ぎ込む。東京開成学校(東京大学の前身)初代校長・畠山義成、初代文部大臣・森有礼らの若き日々に織り成す青春群像。

著者等紹介

林望[ハヤシノゾム]
1949年東京生まれ。作家、書誌学者。慶應義塾大学大学院博士課程修了後、ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授などを歴任。1991年に『イギリスはおいしい』で日本エッセイストクラブ賞を受賞。その後もエッセイ、小説のほか歌曲の詩作、能楽、評論など、幅広い分野で活躍。『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』で国際交流奨励賞、『林望のイギリス観察辞典』で講談社エッセイ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Sato

10
薩英戦争で圧倒的な国力の差を見せつけられた薩摩藩は国禁を破り極秘裏に藩内の俊英15名を渡英留学させた。イギリスまで約2ヶ月の船旅の間、既に植民地になっていたアジア諸国に寄港するたびに、イギリスの経済力や技術力の高さ、植民地となった人民の惨めさを目の当たりにた彼らは、攘夷思想が無謀で意味のないことを悟り、なんとかイギリスの産業、軍備、教育などを薩摩に持ち帰ろうと勉学に励む。短い期間で英語をマスターし、熱心にイギリスの最先端技術を習得しようとする勤勉で聡明な姿、初めて見る文明への素直な驚きが読んでいて爽快。2018/05/18

BluePlanet

5
★★★★☆ 2007年4月25日発行。維新前夜の1865年に、薩摩藩が極秘裏に英国へ送り込んだ俊英15名と秘密使節4名のロンドンへの留学行きを描く実話。鹿児島を出航してから、香港、シンガポール、ペナン、セイロンのゴウル、ボンベイ、スエズからアレキサンドリア、マルタ、イギリスのサウザンプトンへ。ボンベイでは蒸気機関車に度肝を抜かすとともに、行く先々で様々なことに驚き、国力の違いを見せつけられ、攘夷などとんでもないと。彼らの驚き一つ一つが手に取るように実感できたが、後半部分が史料の都合で割愛されたのが残念。2014/04/29

いくたやよい

2
明治維新150年で注目の幕末だが、このところ江戸文化を再評価、明治の富国強兵イデオロギーを批判的に見ている私。薩摩藩留学生についてはもっと知りたいと思っていた。2ヶ月余の航海が主で、ロンドンは到着後わずかで終わったけど、面白かった。リンボーさん、34歳で亡くなった畠山の日記に基づいて書いたらしいので、小説だけど、史実にしっかり基づいている。だから、今年の大河ドラマ西郷どんみたいなひどい作り話は一切ないようだ。五代、寺島(松木)、町田、村橋、長沢の性格が行間からおぼろながらわかる。もっと知りたい。2018/04/29

カラヤ3

2
鎖国の時代に西洋へ藩の俊英を派遣し知識を得ようという先見の明があったからこそ薩摩から明治維新なった後も活躍する人物が出てきたのだろう。この時イギリスにわたった15人の苦労がしのばれるが、それほど期待されていた人たちでも、明治日本を作った人もいれば市井に埋もれた人、行跡不明の人もいるなど、それぞれの運命があるのだなあと感じた。2016/05/14

てつの父ちゃん

2
幕末に薩摩藩の命を受け技術・文化を学ぶ若者を描いた本である。鎖国している間に世界は大きく変貌を遂げていた。この本を読んでから、いちき串木野市にある「薩摩藩英国留学生記念館」を訪れたが、最も若かった長澤鼎の自筆の手紙等が展示されており留学生の苦労と感動に触れられ感慨深かった。2015/04/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/6292
  • ご注意事項