内容説明
「南総里見八犬伝」滝沢馬琴の家に嫁として入るが、夫に先立たれた路。目の見えない舅・馬琴の口述筆記を手伝わされる路の胸に去来するものは?(表題作)。男を買う女。夫を棄てる女。愛人であることを受け入れる女。密やかに、だけど伸びやかに恋をする江戸の女たちの独白。爛熟の町江戸に生まれた六つの恋愛譚。
著者等紹介
梓澤要[アズサワカナメ]
1953年静岡県生まれ。1993年「喜娘」で歴史文学賞受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スケキヨ
4
江戸時代のある一家を含む周囲の人々から派生する恋の話。離縁とか御家柄とかが恋に深く絡みこんできてどろどろしていた。2010/07/01
kazu4
3
馬琴とその息子の嫁に関わる人々の話。 何となく引き付けられ、一気詠み。2022/12/20
Artemis
2
どの恋も、一見幸せな恋愛だとは思えない。でも、その渦中にいる本人はその中に自らの気持ちと幸せを見出し行動する。幸せだって他人に評価してもらったって、幸せだとは限らない。自分の気持ちが結局大事。2016/09/19
星落秋風五丈原
1
南総里見八犬伝』滝沢馬琴の家に嫁いだ路(みち)と、その周りの女性を描いたオムニバス。婚家は息が詰まりそうな所で、遠縁に同じ名前があるからと自分の名前すら変えさせられて暮らす毎日。さらに家計も苦しくて苦労の連続。それは頑なで依怙地にもなりますよ、当然。だから、路が来し方をふり返る巻頭の話は正直読むのがしんどかった。 ただ、話の主役が変わるうちに見えてきたのは、この嫁と舅はさりげなくお互いを気遣いあい、尊敬しあっているということ。2006/09/17
ぶーにゃん@積ん読本解消中
1
滝沢馬琴の息子の嫁が出会う人々の出来事を描く。サラッと日常を書くと思えばドキッとする筋立てを入れる巧みな構成でおもしろかった。2008/06/15