弥勒の月

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  • サイズ B6判/ページ数 292p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784334924874
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

小間物問屋「遠野屋」の若おかみ・おりんの溺死体が見つかった。安寧の世に満たされず、心に虚空を抱える若き同心・信次郎は、妻の亡骸を前にした遠野屋主人・清之介の立ち振る舞いに違和感を覚える。―この男はただの商人ではない。闇の道を惑いながら歩く男たちの葛藤が炙り出す真実とは。

著者等紹介

あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県生まれ。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、「バッテリー」シリーズで小学館児童出版文化賞を受賞。近年、児童文学から一般小説の世界にも活動の場を大きく広げる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

77
とにかく重い作品した。過去の闇に飲み込まれていく清之介と、闇を追う信次郎。美しい風景が広がる中で悲しみの色が冴え渡るのを感じました。おりんの身投げした夜の川のように人々の心にも暗闇の川が流れているのですね。狂気の世界に銀盤の月が映えるのが印象的でした。歪んで生きる人の心の薄暗い闇がどんどん深くなっていくのを照らす月は弥勒の慈悲でもあるのでしょうか。ズシリときますが、とても好きな雰囲気でした。2015/04/26

パフちゃん@かのん変更

63
『花を呑む』を先に読んでしまったのですが、本書がシリーズ一作目。同心の信次郎、岡っ引きの伊佐治と元武士だった遠野屋との出会い。7巻ではあまり分からなかった信次郎の背景もわかった。このシリーズ、読破決定!2017/06/07

万葉語り

54
シリーズ1作目。定町廻り同心の木暮信次郎とその父親にも仕えた岡っ引きの伊佐治が、小間物屋のお内儀おりんの身投げを探索するうちに、深い闇に関わっていく。人が何人も殺される時代物をあさのさんが書いていることにびっくりした。バッテリーとmanzaiのイメージがいい方向に覆された。2018-212 2018/12/08

Rin

51
【図書館】読み進めて行くごとにイメージが変化していく。物語りの雰囲気も、登場人物たちのイメージも少しずつ、最初に感じた印象が読み終えた後には自然と変わっていた。大きな盛り上がりがあるわけでもなく、淡々とした空気のなかに死の匂いが濃く漂っている。そんな中で事件にかかわる人物たちも、それぞれが闇を抱えていながら日常を生きている。表面上だけではわからないそれぞれの胸の内も読み進めて行くに少しずつ明らかになっていく。それでもまだまだ、彼らの過去やこれからは不鮮明なままなので追いかけていきたいと思います。 2015/10/02

baba

50
冬天の昴を読んで再読。過酷な境遇に生まれた清弥。弥勒のような存在のりんと巡り合い遠野屋清之介として再出発した悩み多い若い頃が描かれ、そううだったと思い出す。それに比べ信次郎は初めから相変わらずで、伊佐治親分も距離の取り方に苦労している。好きな人と一緒に居ながら一人思い悩むりんが哀れ。2014/06/18

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