内容説明
〈オレンジの壺〉には戦前のパリの秘密が入っている―。地下組織に関係した祖父は、売国奴なのか、愛国者なのか。パリで謎を追う佐和子の〈人生〉も変わろうとしていた―。追跡長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
美雀(みすず)
23
佐和子の祖父は更にもう1つの日記をつけていた。知らぬ間に諜報機関に巻き込まれてゆく。それに隠された悲劇が…。佐和子の気持ちはよく分かります。これ以上悲しい思いはさせたくないと思います。2013/12/01
橋川桂
9
むう。 最後の最後ですごい不完全燃焼。歴史ミステリじゃなかったのか、となるほど畳まれてないあれこれが多すぎ。私が知らないだけで、この前後を埋める別作品とかあるのか、と思うほど。下巻に入ってからの急展開もあり、俄然面白くなってきたと思ったんだけど、着地を盛大に失敗されてしまった印象。2018/11/15
yukarino☆
2
下巻もあっという間に読み終えました。上巻と下巻では田沼祐介の印象がガラリと変わりました。大企業の会長だっただけあって、得体のしれない人です。日記の時代は60年以上前のことでほとんど関係者がいなくなってしまった中、マリーの生死を突き止めたことは奇跡に近い。なぜ祖父が佐和子に日記を残したのか疑問は残りましたが、これ以上事実を明らかにすることは、現実的に考えて無理だろうな。最後、佐和子と滝井さんが上手くいってよかった。どうなることかとハラハラしました。2012/06/24
入江大和
1
過去の読書記録より記載。「えーっ、こんなのってあり?という終わり方。推理小説じゃないから仕方ない?セレブ向け雑誌に連載していたからか、きれいごとというのか、格好いいだけの小説でした」とメモあり。あんた何様?…でも書いたのは28年前の私。偉そうでごめんなさい。1994/01/27
sohara
1
1993年刊行。やはり宮本作品は、今世紀に書かれたものの方が破綻も少なく安心して楽しめることを再確認させられる。夫から一方的に離婚された25歳の若妻という主人公の設定は良いとして、祖父の秘密の日記だの、彼の若き日のスパイもどきの活動だのと、思わせぶりな小道具やらほのめかし満載の筋書きが、しかし、満足に収束せぬまま突然の幕。話を広げ過ぎて、手に負えなくなった感が強い。異国情緒豊かななロマン小説なので、五木寛之作品のあれこれを思い出しながら読みました。2017/07/21