光文社古典新訳文庫
椿姫

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  • サイズ 文庫判/ページ数 491p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784334751616
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

内容説明

美貌の高級娼婦マルグリットは、パリの社交界で金持ちの貴族を相手に奔放な日々を送っていた。ある日、青年アルマンと出会い、初めて誠実な愛を知る。マルグリットは享楽的な生活を捨て、パリ近郊の別荘で二人の幸福な生活が始まる。だが、噂を聞いたアルマンの父が駆けつけて…。

著者等紹介

デュマ・フィス,アレクサンドル[デュマフィス,アレクサンドル][Dumas fils,Alexandre]
1824‐1895。フランスの劇作家・小説家。同名の父、アレクサンドル・デュマの庶子。父の庇護のもと、若いころより社交界に出入りし、20歳のときに高級娼婦マリー・デュプレシーと恋に落ちる。その思い出をもとに、1848年、『椿姫』を出版し脚光を浴びる。1852年には、自ら脚本を書いた同作の演劇が上演され、大成功を収める。その後も、小説や戯曲で多くの作品を発表、1874年にはアカデミー・フランセーズの会員に選ばれた

西永良成[ニシナガヨシナリ]
1944年生まれ。東京大学文学部フランス文学科卒業。現在、パリ国際大学都市・日本館館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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優希

94
切なさが体を貫きます。社交界で貴族を相手にしていた高級娼婦・マルグリットが青年・アルマンと出会ったことではじめて知った誠実な愛。全てを捨ててのアルマンとの生活も長くは続かず、身を引かねばならない運命へと動いていくのが悲しすぎました。矢張り娼婦という肩書きが恋愛の障害となっていたのでしょうね。娼婦であったからこそ、一人の女性としてアルマンに見て欲しかった気持ちが伝わってきました。マルグリットは嘘をついてまで離れたのに、騙されてしまうアルマン。ある意味で朽ちることない恋愛小説と言えますね。2016/07/02

藤月はな(灯れ松明の火)

92
『モンテ・クリスト伯』の作者を父に持つ小デュマの純愛小説。やっぱり、この時代は女の愛への不信や上から目線が強いな〜。そしてアルマンは夏目漱石作品での恋をしていても己のことしか考えられず、将来への見通しが悪いから世間に流されやすいお坊ちゃんにも似ていると思う。特にマルグリットに今迄の贅沢な暮らしをさせる為に借金をする姿にはイラっとします。そう考えるのは自分が我慢できない性格を相手にも投影している傲慢さが透けて見えるからです。女は「この人と一生、添い遂げよう」と決めたらどんな苦労も堪え忍べる事も出来るのにね。2017/02/03

molysk

69
椿の花を手に、夜の社交界の華として客をとるマルグリット。相手の求めに応じることを自分の役割としていた彼女は、青年アルマンの心からの愛情に出会い、愛されることの歓びを知る。過去と決別して、幸福な生活を始めた二人。だが、マルグリットの前に現れたアルマンの父は、本当に息子を大切に思うならば、身を引くように求めたのだった――。「豪奢」を意味する椿の姫として、人の欲望に心と体を苛まれたマルグリット。死に至る熱病は、あるいは魂を清めてから天へと旅立つためだったのか。その名であるマーガレットの花言葉は、「無垢」。2022/04/10

metoo

62
児童用に書かれた椿姫を小学生の時に何度も読んだ。今読み返すと、娼婦の存在も理解できない幼少の私が、本書のストーリーの何処に惹かれたのかは思い出せない。自分の愛を貫くために下した決断と、移した行動と、一目見た誰もが虜になってしまう美しい容姿のマルグリットに熱を上げたのでしょう。今、読み返すと、若い苦労知らずの男が、花が美しいから近付き、花が美しいから摘み、都合が悪くなると捨てた身勝手な若者の顛末に過ぎない。2014/11/09

emi

36
なんて若い恋なんだろう、と思うのは今だからであって、もし私が同じ年頃で読んだら感想は違っていただろうな。若く病身の高級娼婦マルグリットの死後から物語は始まる。彼女を愛したアルマンが自らの恋を回想するのだけど、なんてキミは甘ちゃんなんだ、と苦笑せずにはいられない。しかしマルグリットはそんな彼と初めて誠実な恋をする。多分大半の読者はマルグリットに同情するけれども、この物語の素敵なところは、恋する人間のしたたかな強さと脆さが鮮明に描かれているところ。正しさじゃないの、と力強い笑顔を見せる彼女が本当に素敵な物語。2017/09/17

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