内容説明
少女・アデルの家庭教師として生活するうちに、ジェインとロチェスターは、お互いの中にある情熱、優しさ、聡明さに気づき惹かれ合う。愛を深めていく二人。だが、運命は過酷な試練をジェインに用意していた。苦悩の果て、二人に訪れた結末は…。究極の愛は結実するのか。
著者等紹介
ブロンテ,シャーロット[ブロンテ,シャーロット][Bront¨e,Charlotte]
1816‐1855。イギリスの小説家。エミリー、アンの二人の妹も作家で、「ブロンテ三姉妹」と呼ばれる。父親が牧師であることから牧師館で育ち、早くから文学的素養を培う。私塾経営を試みたり、ブリュッセルに渡って英語教師になるなど、三姉妹の中でも活動的だった
小尾芙佐[オビフサ]
1932年生まれ。津田塾大学英文科卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遥かなる想い
246
身分の差、歳の差をものともせずに、 恋に突き進むジェインの生き様は、 当時の英国では 衝撃的だったようには思うが、 全体的に やや芝居がかったな印象で、 正直 感情移入が 難しかった。 ロチェスター氏がさほど魅力的には思えず、 ジェインのひたむきさだけが 印象的な物語だった。2017/10/20
セウテス
85
〔再読〕ジェインは、ロチェスターとの結婚を承諾する。だが結婚式の当日、ロチェスターには発狂した妻が存在すると分かると、彼女は彼のもとを去るのだ。自立と純粋なる愛を求める女性が、不幸と苦労の末、幸せを掴みとるという物語だ。しかし、ジェインの父は貧しい教師で、更に貧しい者を助けて病死する愚か者と表し、そんな所へ親の反対を聞かずに嫁いだ母は、不幸になるのが当然だと表す。最後もロチェスターは片腕を失くし失明している様に、作者の闇を感じてしまう。作者は幼く母や姉妹を亡くし、自分も結婚1年たらずで亡くなったのだから。2019/04/13
財布にジャック
78
気になっていた謎が、こういうことだったのかと明かされて、まずはスッキリしました。下巻になっても、そういうミステリアスな要素も魅力的で、恋愛物としても二転三転し、上巻よりもどっぷりとお話に入り込めます。不朽の名作といわれていますが、まさにその通りの傑作中の傑作であることに、読み終わって溜息さえもれました。あ~、こういう本を読むと、読書が趣味で本当に良かったと思います。誰にでもお勧め出来る久々の大ヒットです。2012/02/16
molysk
75
惹かれ合うジェインとロチェスター。ついに結婚の契りを交わす二人に、試練が訪れる。愛するがゆえに、ロチェスターのもとを去るジェインが、流浪の果てに出会った人々は。そして、二人の運命は・・・。社会的身分の区別が厳密だった19世紀イギリスでは、家庭教師と名家の主人という身分の違いを超えた愛は、画期的な印象を当時の人々に与えたに違いない。主人公であるジェインが、過去を回顧する形式でつづられる本作。自らの行いを振り返り、その思いを読者に対して語りかけるジェインの言葉は、情熱的な彼女らしく力強く、私たちの心を動かす。2021/07/22
aika
55
館の主人ロチェスターに対するジェインのひたむきな愛に宿る、その身を焦がすような情熱に終始魅せられた再読でした。年齢差も身分も飛び越えてひとりの人をここまで愛せるのかと嘆息です。自分を虐げ続けた伯母と病床での再会も印象的でした。やがてジェインを待ち受けていた束の間の幸福と果てのない不幸は、めまいがしそうなほどの落差。見知らぬムーアをさまよい、物乞いをして邪険に扱われる場面は胸が痛みます。自らの内なる心の声に耳を澄まし続けるジェインの堅固な愛を貫く生き方は、読者の内面に潜む強さを引き出してくれるようでした。2022/11/22