内容説明
江戸は神田の橋本町、貧乏長屋に住まう砂絵かきのセンセーを始めとしたおかしな面々が、わずかな礼金めあてに、奇妙奇天烈な謎を解く異色の捕物帳シリーズ!四季折々の江戸の風物を織り込み、大胆かつ巧緻な構成で展開する探偵噺は、時代小説のみならず本格ミステリーファンをも夢中にした傑作揃い。その名作が装いも新たに、ボリューム満点の二冊合本で刊行。
著者等紹介
都筑道夫[ツズキミチオ]
1929年東京生まれ。十代の頃よりさまざまなペンネームで小説を発表。『猫の舌に釘をうて』『三重露出』『七十五羽の烏』などのミステリーのほか「なめくじ長屋捕物さわぎ」シリーズなどの時代小説も数多い。2001年に『推理作家の出来るまで』で第54回日本推理作家協会賞受賞、’02年には第6回日本ミステリー文学大賞を受賞。’03年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おか
45
物凄く久し振りの都筑さん。最初のページで笑った! 4人の男を表すのに英、美、司、泥と 分かります?エイ、ビー、シー、デイ です(笑)こういう言葉遊び 久し振りです。長屋物 結構読むが その中でも一番貧しい長屋です。でも 其々が 特技を持っているのが凄い!砂絵師の先生を中心に 長屋の面々と謎解きをするが 決して正義の為では無い というのが 小気味良い。幾ばくかの金を一番払ってくれそうな人間に要求し、皆で山分けし酒盛りをする!それでも 皆んないつもお金が無いって!豪気やなぁ(笑)2023/04/19
ちくわ
26
時代物というのもあって一度挫折して、再度チャレンジ。なにこれ、めちゃくちゃ本格ミステリ!!すごい。 好きな作品は、ちみどろ砂絵だと「本所七不思議」、「いのしし屋敷」くらやみ砂絵だと「天狗起し」、「南蛮大魔術」、「地口行灯」ですね。密度の濃いミステリ、読んで良かった。 少々、読みにくいところはありましたが、江戸の風景、文化の描写は新鮮で、なめくじ長屋の変わった面々たち。砂絵のセンセーという魅力的な探偵と読んでて面白い!!2017/02/27
geshi
22
捕物帳にも関わらず謎を解くのがアンダーグラドの人間だから、真相を明らかにせず裏に回った事態の収拾と金稼ぎができるダークさが魅力。「めーとる」「英、美、司」とあえて時代の違う言葉を使うことで純粋な謎解き物としてのフィクションラインをとるバランス感覚が面白い。『春暁八幡鏡』怪盗ニックを思わせる奇妙な盗難物の謎とそれぞれの得意技を使ったケイパーものの二重の面白さ。『天狗起し』シリーズ最高傑作と言われるのも頷ける奇天烈な謎の提出と捕物帳でしか成立しない真相。モチーフを論理のアクロバットに組み込む手際が見事。2018/11/14
タカギ
21
江戸の底辺で見せ物をして日銭を稼ぐ芸人たちが暮らす長屋は、雨が降ると興行に出られない住人がのたくっていることから「なめくじ長屋」と呼ばれている。そこに住むマメゾー、カッパ、ユータやらのおかしな面々が、知恵者で砂絵描きのセンセーを中心に謎解きに挑む。といっても、正義に燃えているわけではなく、礼金が目当てで、ちょっとしたことには目をつぶったりするから、かえって人情味がある。短編が14でボリュームたっぷり、時代小説好きも推理小説好きも楽しめること請け合い。センセーが何者かの謎もあるので、続きも読みたいです。2018/04/16
Norico
20
ゴールデンウイークもどこも遊びに行けないし、なめくじ長屋シリーズを引っ張り出してみました。予想通り話の中身はすっかり忘れてるので、センセーの推理を満喫。マメゾーさんやアラクマさん、カッパさんなど長屋の面々も懐かしい。2021/05/01