内容説明
東京で生まれ育った私は、結婚を機に福岡や名古屋に移り住んだ。出産、育児と共に出発した作家生活で、社会経験に乏しい私は、大勢の方々から取材を通して多くの貴重な知識を頂いた。そのお陰でいつもテーマを持つミステリーを書く事ができたように思う。―眼精疲労からグリーン碁石を開発し、心身症から新しい世界がひらけたという作家の「獲得体験」とは。
目次
往ったり来たり(枚数音痴;生放送;出産という転機;日没遅い町;胎教について ほか)
人と書物と遊びと出会う(書店がこわい;時の栞;選考会のあと;桜本位の家;悪女の深情け ほか)
著者等紹介
夏樹静子[ナツキシズコ]
東京生まれ。慶應義塾大学英文科卒業。大学在学中に『すれ違った死』が江戸川乱歩賞候補になる。1970年『天使が消えていく』が再び江戸川乱歩賞候補。’73年『蒸発』で第26回日本推理作家協会賞受賞。丹念な取材と繊細な心理描写、着想の斬新さで新テーマに挑みつづける。長年にわたり、水準の高い多彩な作品を生み、2006年には第10回日本ミステリー文学大賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kigalisoupe
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好きな作家のエッセイ。主婦と母と作家をぜんぶこなしてきた彼女の裏話。「白愁のとき」読みたくなった2011/02/17
Cinejazz
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歳を重ねると失うものが多くなる。職場や地位、体力や健康、友人や配偶者、髪の毛や肌の色艶までも失う。これを精神医学では「喪失体験」と言われているが、筆者は「獲得体験」と名付けて、別の世界に眼を向けて生きることの喜びを語っている。歳をとっても、絶えず新たな体験を試みることで、みずみずしい感性を持ち続けること、これぞ人生を愛おしみ生きることと諭している。 夏樹静子さんのご冥福をお祈りします。2018/06/04