内容説明
東北自動車道で起きた一件の死亡事故がきっかけだった。ディーラーからあがってくる不具合情報を隠蔽し、リコールを逃れようとする五代自動車と、事故原因を追究する新聞記者の必死の攻防―。終わりの見えない「企業倫理」の崩壊は、なぜなのか?この国は、どこへ向かおうとしているのか?誇りをもって、日々を闘うすべての人に贈る、入魂の長編経済小説。
著者等紹介
高任和夫[タカトウカズオ]
1946年宮城県生まれ。東北大学法学部を卒業後、三井物産に入社。審査畑を歩みつづけるからわら、作品を発表。’96年末、依願退職。以来、作家活動に専念し、著者独自のヒューマニティに裏打ちされた作品群で、経済企業小説の分野に新たな地平を拓く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まつうら
44
池井戸潤「空飛ぶタイヤ」と同じく、三菱自動車のリコール隠し事件をモデルとした作品。しかし著者はこの事件を通して、サラリーマンにとっての生き甲斐とは? 人は何のために働くのか? ということを問うているような気がする。この問いが、高任作品の独特の厭世観というか、劣等サラリーマン感情に覆いかぶさってきて、なんだかずっしり重い。リコール隠しという悪事に加担してまでも、五代(三菱)社員というブランドはそんなに魅力的なのか? その中でひとり、上司の前で堂々と正論を吐き、早々に会社を去っていった園部の潔さが清々しい。2023/01/17
ふみふむ
5
有名自動車企業のリコール隠し事件から10年近いが同じような不祥事が後を絶たない。「怖いのは組織ではなく権力という名の人間だ」とのシーンが印象的。同時に山崎豊子の「沈まぬ太陽」の怒りを思い出した。2012/07/21
Sachi 改め「ユーミー」
4
それぞれの立場でそれぞれの信念を貫く。。。話の展開に間がなく面白かった。一気読み。2013/05/27
テニやす
3
何時まで経っても クレーム隠しはなくならないですね。去年も立ち入りあったような気が。。。一~十まで発表しろと言うような正義感はないが 何が良くて何がダメか 良識ある判断は必要だ。2014/03/18
羆嵐
2
2.5三菱自工のリコール問題を、空飛ぶタイヤとはちがって内側から描いた。主人公は法務部の課長。しかしここまでダーティーなことを指示する取締役ておるんかね2018/08/17