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光文社文庫
カワハギの肝

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  • サイズ 文庫判/ページ数 251p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784334740696
  • NDC分類 596.04
  • Cコード C0195

内容説明

「あらゆる魚の肝の中で一ばん味のいいのは、カワハギの肝ということに落ちつくのではあるまいか」イタリア・ルネッサンスの研究などで知られる著者は、生きるよろこびの一つが舌にかかっている、と言う程の食いしんぼう。しかも、生半可なグルメではない。おいしいもののためなら、自ら野菜を栽培し、蜂蜜を作る。“食”と“味”を追求する実践派食通人の名エッセイ。

目次

食いもの談議(食いもの談議;朝・昼・晩;美食について ほか)
野外食い歩きの記(冬;春;夏 ほか)
食卓歳時記(大根おろし;うどん;刺身 ほか)

著者等紹介

杉浦明平[スギウラミンペイ]
1913年愛知県生まれ。東京帝国大学文学部卒業。『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』『ミケランジェロの手紙』『ルネッサンス巷談集』などの翻訳をはじめとするイタリア・ルネッサンスの研究活動に多大な功績を残す。’71年『小説 渡辺崋山』で毎日出版文化賞を受賞。2001年、没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

showgunn

18
序盤から、食通とされている吉田健一は各地から旨いものを送ってもらえて結構な御身分だ、まるで殿様だ、と軽くディスっているだけあって著者は自分が新鮮な野菜を食いたいから畑を始め、旨い鶏肉を食うために養鶏を始めようかと考えているという徹底的な実践派で、読んでいる側としてもやはりそちらの方が面白い。 ただの美食エッセイとは違って農業の話も出てくるし、子供の頃人の家や山に成った果物や野菜を食った話とかもあまり他ではないもので、昔は本当に物がなかった、ということがよくわかる。それはそれで楽しそうだけど羨ましくはない。2016/11/19

ホークス

18
1913年生まれの著者の語り口が率直で楽しい食べ物エッセイ。ことに愛知渥美で過ごした幼少期の話が愉快で、中でも60ページに及ぶ「野外食い歩きの記」は素晴らしい。クサ木の虫、エノミ、ヤスカゴ、スダメ、これみんな食べ物の名前。秋の木の実の王様は椋の実、拳固の様な形で石の様に堅い石ナシ、様々な草イチゴ。花見をする桜のサクランボさえ苦味の中の微かな甘味を求めて子供達はしゃぶった。二度と見られない失われた光景が、お爺さんの昔話の様に、少年の自慢話の様に、懐かしく瑞々しく語られる。元本は1976年。貴重な一冊。2016/02/18

紅独歩

2
杉浦明平の遺した業績はあまりにも巨大過ぎて、その全貌をとらえるのは困難だ。となれば、「記録文学」の名手による食味随筆と言う親しみやすい入り口から覗いてみるのも無駄ではあるまい。「食いもの談義」で食全体の総論、「食卓歳時記」で食材の各論、その間にはさむ形の「野外食い歩きの記」で春夏秋冬の流れを読むという、非常に考えられた構成。表題の「カワハギの肝」はもちろん作者の好物だが、海で洗って丸かじりするナマコや自家栽培の若ゴボウの葉の佃煮など、素朴だがすでに失われた美味を(脳内で)堪能できる。2013/12/18

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