感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山田太郎
64
久しぶりに再読。ブックオフで108円コーナーに案外在庫がないような気がする。昔いっぱいあったような気がするんだけど。案外古くさい感じもなく今読んでも十分おもしろい。しかし、簡単に人が殺されます。2014/10/03
財布にジャック
61
大藪春彦賞なる賞まであるくらい有名な大藪さんなんですが、実はこれが初読みです。バリバリのハードボイルドを堪能させていただきました。「蘇る金狼」は映画で観た事があるのですが、そのせいか主役の松田優作さんが読みながらも頭の中でチラついて気になって仕方がありませんでした。でも、松田さんというよりもゴルゴ13のイメージかなぁとも思いました。この本には3つのお話が入っていましたが、「野獣死すべし・復讐篇」が一番萌えました!でも女性の扱われ方があまりにも悲しすぎて、憤りさえ感じる程です。2011/10/06
マムみかん(*感想は風まかせ*)
38
大藪賞の受賞作は好みの物が多く、けっこう読んでいます。 が、本家本元のご本人の作品は未読。 こちらも松田優作で映画化された時に知りましたが、当時は小娘だったので敷居が高く…断念(笑)。 珍しく新刊書店で見かけたから、「もう何も怖くないわ~」と手に取りました♪ いやいや凄い!! ここまで感情移入を拒むダークヒーローは初めてかも。 戦争のトラウマとか復讐とか、理由付けなんて必要ないんですね。 感傷に浸った直後に、アッサリ殺しちゃったり。 でも、単なる殺人鬼ではない…不思議な人でした☆2015/05/23
daiyuuki
27
戦争中のトラウマで人間を信じることが出来ず、自分の頭脳と武器と車を頼りに完全犯罪を重ねる伊達邦彦。世界に挑戦するように悪行を重ねても、相棒を命を奪う時に躊躇したり妹の死を悲しがったりする一面が面白い。タフな肉体と頭脳を持つダークヒーローのパターンを作った原点と言える傑作。2016/07/03
夜間飛行
26
「深夜。しめやかな雨が、濡れた暗い歩道を叩いていた。」大藪春彦の乾いた世界が、都会の夜の雨から始まるのは新鮮である。ハルピンからの引き揚げ、戦後の混乱を生き抜いた邦彦の青春が語られる所は、非常に高揚した文体だがぎこちない。けれども野獣のような主人公にとっては、むしろ乱暴な文章の方がふさわしいと思える。「好むなら、それを虚栄心とも、偏執狂とも、強烈な自我とも呼べ。彼はすでに、不吉な執念に生きる一個の悪霊と化していた。」こんな書き殴ったような文章を青臭く感じないのは、主人公がとことんまで行動し抜くからだろう。2013/03/27