内容説明
レーニン、スターリンの天才がはぐくみ育てたソビエトは、かつて人類の夢であった。しかし、現在はどうか。平等理念のかげにいる、恐るべき特権階級。形だけのノルマ達成に責任のおしつけ合いをする農民、労働者。…ペレストロイカで世界中の注目を浴びるソビエトの実態とは?鬼才、小室直樹のデビュー問題作。
目次
1 ソビエトの内部崩壊がはじまった(ソ連社会はロシア革命直前とそっくりだ;ソ連的経営には致命的欠陥がある;中世的意識のままのソ連労働者;農奴意識から脱けきれないソ連農民;マルクス主義はユダヤ教;ソ連式マルクス主義は神政政治である;ソ連の内部崩壊はもう止められない)
2 ソビエト軍は見せかけほど恐くない(ソ連軍を“張り子の熊”にした組織の論理;みずからの弱さを知ったソ連軍が危ない)
3 日本を滅ぼす“平和・中立”の虚構
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Masakiya
4
今回のロシアのウクライナ侵攻に、冷戦時のソ連の姿を重ね合わせた人も多いのではないか。本書の新書版の初版は1980年、ソ連のアフガン侵攻時である。書名につながる歴史上の事象としてスターリンによる粛清、独ソ戦、スターリン批判、の影響が語られる。「ソ連軍は巨大な国鉄だ」なんて慧眼とはこのことだ笑。有事の際の日本の統治システムは天皇の非常大権が設定されていた戦前に比べて脆弱だとか、市民が勝手に戦闘行為をすると戦時法規違反で戦争犯罪人になる、など本書で語られる一つ一つの話題に興味はつきない。2022/03/16