カッパ・ホームス<br> 断筆宣言への軌跡

カッパ・ホームス
断筆宣言への軌跡

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  • サイズ 新書判/ページ数 185p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334052096
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

内容説明

くたばれ良識。「清く、正しく、美しく」の世論を糺す。

目次

美濃部東京都知事の家に屑籠はあるか?
大日本悪人党を待望する
差別語について
冷たい鼻の駱駝
昔むかし、作家は悪かった
差別意識と市民的日常性
文明すべて異常心理の産物
おれが禁煙したら人を殺しかねない
倫理は堕ちた人でないとわからない
タブーの多い社会ほど原始社会である
国語の先生にモノ申す
おれもやりたい老年非行
世論の胡散臭さ
ピューリタンと化したオバタリアン
明るく清潔な文壇業界に棲む魚
異端の排除は個性の排除
安吾そして文学者にとっての「悪」
文芸家協会は職能集団か
ボランティアの過剰な自負
フェミニズムと言葉狩り
追悼―中上健次
日本てんかん協会に関する覚書
断筆宣言〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

がらくたどん

13
桐野夏生氏の『日没』を読んでいて思い出し再読。昭和半ばに子供に「ハレンチ」なものを読ませてはいけないという運動があった。学校で配られたお知らせを見た戦中派の両親の反応は「本に書いてあることを全部信じてはいけない。それが分かっているなら、後は見つからないように好きに読みなさい」でした。それもあり氏のプッツンにも納得だった。氏が関連団体と覚書を取り交わし断筆解除した時はそのしたたかさが嬉しかった。さて、今冷たい鼻の駱駝はもうどのくらいテントに侵入しているのだろうか?井上ひさし氏の代理(!)序文も大好き。2021/01/11

ころこ

7
断筆宣言の時は朝生に出演し、てんかん協会の人と論争していましたが、その後見解の一致があり、著者自身もあの頃は少し休みたかったと回想していたので、ヤラセのようなものだったのでしょう。むしろ、永山則夫の文芸家協会入会騒動や、出版社による自主規制などに真剣に取り組んでいたことが分かります。部落問題は今の60代が亡くなれば問題解決ですが、てんかん問題は近年社会問題となる自動車事故が頻発したため、当時よりも深刻になっていると思われます。テクノロジーの発達と社会の進歩により、消えてゆく根拠薄弱な部落問題と、根拠がより2017/03/16

あけの

3
わたしは高校大学のころ筒井がかなーり好きだった!だから断筆宣言を受け入れがたいおもいがあって 断筆宣言自体はリアルタイムでは読めなかった としとってやっぱりあの頃の彼の思いを受け止めようと今回図書館でいろいろあさってきました 1993年 あれから三十年たってネット界隈の表現の自由論争のすべての解がここにあるような気がする 当時は文壇だったのが今は一般人におりてきてる 文化国家の、文化としての小説が、タブーなき言語の聖域となることを望んでやまぬことを。 その言葉を強く噛み締めたい 小説に限らず!!2022/05/29

夜狼寺 大

3
僕には、井上ひさしさんが書かれた序文のほうが心にスッと入ってきて共感できた。その中で一番胸を打たれた文章を少し長いが引用する。 『(略)ほとんど不可能と覚悟しながら、現実世界を「われわれ」と「彼等」の意識で見る本能をなんとかして乗り越え、別の見方がないものかと模索し努力する。この努力が尊く大事なのだ。』僕はその努力をしてきたのかと言われれば、俯くしかない。面倒だとか他所事だからと逃げてしまうのだ。2017/05/22

Shinya

2
言葉を生業とする人ならではの、言葉に対する見えない弾圧への感性。 それが誰よりも早く時代の流れを察知した。時系列でこの人の作品を読むと、断筆は当然の結果であったように見える。2018/09/05

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