内容説明
喪失のある人生は必ずしも不幸ではない。パートナーロス、母ロス、父ロス、ペットロス、安室ロス…死生学、グリーフケアの知見に基づく「心の穴」との向き合い方。
目次
序章 人生は失うことばかり
第1章 喪失とは何か
第2章 喪失がもたらす影響
第3章 喪失と向き合うために必要なこと
第4章 「そのあと」をどう生きるか?
第5章 喪失に備える
第6章 自分の喪失を振り返る
著者等紹介
坂口幸弘[サカグチユキヒロ]
1973年大阪府生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了、博士(人間科学)。現在、関西学院大学人間福祉学部人間科学科教授。専門は死生学、悲嘆学。死別後の悲嘆とグリーフケアをテーマに、主に心理学的な観点から研究・教育に携わる一方で、病院や葬儀社、行政などと連携してグリーフケアの実践活動も行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たかこ
63
「喪失学」グリーフの本をたくさん読んできたけれど、一番理解が深まった1冊、たくさん線を引いた。「喪失にどのように向き合うのかは、人生をどのように生きるのかに通じる。」自分の喪失体験を改めて見直し、死は納得できるものではなくて、ただ受け入れるものであったのだなと思う。人生において喪失を重ねるなかで、この経験から学んだことは多い。けれど、喪失を意識して学んではいなかった。今だからこそできること、支援者として関われることを深めていきたい。「喪失体験に関する10の問い」のワークは週末に時間をかけて取り組むつもり。2023/10/19
サアベドラ
32
人生で体験する様々な喪失体験(特に死別)とそれが人に与える影響、そしてそれへの向き合い方を比較的冷静に記した新書。著者はグリーフケアの専門家。最近、親類を亡くしたので読んだ。ページ数は多くないが、内容が内容なだけに読み進めるのに時間がかかった。まことに遺憾ながらこの世に生を受けてしまった以上、必ず死ぬし周りの人もいずれ死ぬ。理屈では自明のことだが感情は理屈ほど論理的ではない。本書を読んだところでこのわだかまりがスッキリするわけではけしてないが、言語で考えることそれ自体はとても大事なことだと思う。2020/02/20
まゆまゆ
21
大切な何かを失い、それを嘆き悲しむ喪失。最近は「~ロス」ともよく言われるが、多かれ少なかれ人は何かを失いながら生きている。人生において何かを得ることは大切なことだが、いかに失うのかも大きな問題である。その答えを求めることは人間としての深みをもたらすが、答えは一人一人異なって当然。人物や所有物を予期せず失うこともあれば、選択した結果失うものも。失って初めてそのありがたみを分かる前に、今ある物を失ってしまうことに思いを馳せるのは大事なこと。2019/11/27
ゆず
15
愛犬を失って、読んでみた。人生は喪失と共にある事。哀しみの感情に蓋をしてはいないが、早く立ち直る事も無い。自然に従えば良い。後ろ向きのままでもよい。等励まされた。読んで良かった。愛犬のお陰で、喪失について考える時間も持てた。2020/08/11
ゆうみい
13
何かを失いながら生きていくのが世の常。死別や失恋などのイメージしやすい喪失もだが、四肢やプライドだって喪失する可能性はある。なんならおにぎりを落っことしたり、出先に腕時計を置いて帰ってしまったりだって喪失だ。そんな避けて通れない喪失体験について学べる。主には著者の専門の死に対する臨床心理▼印象的だったのは、無理に前を向く必要はない、後ろ向きで”バックで”進むことも一策だという話。向き合うことを避けるために忙しくしてはならないけれど、目の前のことに必死で取り組むのは一策だそう。2020/05/19