光文社新書<br> 空気の検閲―大日本帝国の表現規制

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光文社新書
空気の検閲―大日本帝国の表現規制

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  • サイズ 新書判/ページ数 304p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334043445
  • NDC分類 023.8
  • Cコード C0231

出版社内容情報



辻田真佐憲[ツジタ マサノリ]
著・文・その他

内容説明

ブラック労働的なその現場、エロ本評論家と化す検閲官、検閲官とマスコミの驚くべき一体ぶり、植民地における検閲の実情、検閲の対象となるメディアの広がり、官僚的セクショナリズムによる検閲の暴走、法外の手段を用いた非正規の検閲と、忖度による自主規制、世間との共振…。絶対悪の代名詞「検閲」。しかしその実態は?繰り返される忖度の歴史、その源を探る。

目次

第1部 検閲の動揺(エロ・グロ・ナンセンス対検閲官―一九二八~一九三一年;世間と共振する検閲―一九三二~一九三六年 ほか)
第2部 広がる検閲網(植民地の独立運動を抑圧せよ―台湾、朝鮮;聴く検閲、観る検閲―脚本、映画、放送、レコード)
第3部 戦争と検閲(日中戦争と忖度の活用―一九三七~一九四一年;太平洋戦争と軍部の介入―一九四一~一九四五年)

著者等紹介

辻田真佐憲[ツジタマサノリ]
1984年大阪府生まれ。作家、近現代史研究者。慶應義塾大学文学部卒業、同大学院文学研究科中退。2012年より文筆専業となり、政治と文化芸術の関係を中心に、広く執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まりお

46
戦前の検閲について。戦争が始まった後は権限を持たない軍による介入により一層締めつけが酷い。検閲と聞くとこの時代についてしか想像したことがなかったが、それ以前のエログロの取締の内容を見て考えが変わった。エログロに詳しくなるなら目を肥える必要があった、検閲官がエログロマニアになるのが面白い。あと出版社側との巧妙な伏字駆引きも面白い。2018/10/21

ころこ

40
戦前にあった検閲をコミカルに紹介しています。地道な検閲官の努力にもかかわらず、その適用は文脈依存的で状況依存的なため、客観的な基準による取り締まりをすればするほど表現の真意はその基準から逃れていく。結局は検閲官の主観に頼り、マンパワーの不足から出版社や新聞社に対して忖度させることによって実質的に表現を規制していたことが資料と共に論証されます。親日的といわれる台湾で起こった蜂起である「霧社事件」に驚きます。第3章の植民地における検閲は、本書の趣旨とは直接的な関係は無いものの、戦後にいわれる単一民族日本と戦前2021/12/19

おかむら

37
戦前の検閲の実態について考察。どの部分を猥褻と捉えるかで検閲官の趣味嗜好が出ちゃうとかの面白部分と、治安維持方面の検閲の恐ろしさ。そして出版社側の自主規制という忖度。忖度は日本の伝統か。日本国内だけでなく植民地だった朝鮮や台湾の検閲も調べてるのが興味深い。植民地、された方は忘れないけどした方は忘れがちだよなー。あ、それイジメと一緒か。2018/04/29

たこやき

22
戦前の検閲の様子などを綴った書。当初はエログロから、政治的主張まで……の変遷を綴るのだが、その事例がなかなか面白い。直接書くと発禁になるから、伏字に。何十文字も伏字が続いて意味不明なものも検閲官は見破って……って逆に何か面白いものも。しかし、そういう中で、発禁になることで赤字になるため、出版社などは空気を読んで扱わないようにする、というのは検閲の本当の怖さを感じる。そして、これって、現在の有害図書指定とか、そういうものにも通じる性質を持っている、というのを感じずにはいられない。2018/05/30

猫丸

21
エログロ時代から終戦までの検閲事例史。安寧秩序紊乱と風俗壊乱の防止を二つの旗印として、少数精鋭の検閲官がことにあたった。その業務は一貫した職業倫理に貫かれる傾向があり、暴走を招いたのはむしろ外部要因、とくに教育水準の低い陸軍や庶民の圧力にあった。さらに大手マスコミは時局に従って変化する検閲ラインを熟知する立場にあり、発禁を事前に避ける忖度技術を向上させる。ここに最末端の無批判なる衆愚と出版インテリが同期する仕掛けが、巧まずしてできあがる。近年、風俗関連の空気の検閲は完成に近づいている。次は思想統制である。2018/10/24

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