内容説明
東京に住んでいて、東京のホテルに泊まっていけないわけもない。ながらく住んでいるからといって、身近な町を知っているとはかぎらないし、未知という点でいうと、千キロかなたも十キロの近きも同じである。夜ふけのホテルの窓から見上げた夜空は、心なしか旅情をかき立ててくれるし、それにこの旅は、足代がほとんどかからない。その分、夜の飲み代に回していいのである。林立するビルに挟まった、小さなシティホテルの朝の食事。たった一泊なのに、もう何日も旅の空をつづけているような気分である―。品川宿、上野、十条・王子、赤坂、築地明石町、牛込界隈、かっぱ橋道具街、赤塚、木場、小菅、関口、千住、丸の内、明治神宮、豊島園、桧原村、蒲田、青梅、八王子、神田・日本橋…。都心から郊外、山の手から下町まで。これまで幾度も通りすぎてきた町に、一泊、根をおろしてすごしてみると、町の素顔、魅力、歴史、息づく人々の姿…etc.が見えてくる。
目次
1(五十三次うちどめの夢―品川宿(品川区)
ここすぎてとわのなやみぞ―上野(台東区)
サービス満点―十条・王子(北区)
三代目訪問―赤坂(港区)
ハイカラと伝統―築地明石町(中央区))
2(坂の上彷徨―牛込界隈(新宿区)
巷の芸術―かっぱ橋道具街(台東区)
田遊び―赤塚(板橋区)
幻の町―木場(江東区)
空白の地図―小菅(葛飾区)
椿山荘清遊―関口(文京区)
路地裏いきつもどりつ―千住(足立区))
3(タダは楽しい―丸の内(中央区)
人神和合―明治神宮(渋谷区)
初恋ラプソディ―豊島園(練馬区)
カブトと龍の里―檜原村(西多摩郡))
4(一日静養―蒲田(大田区)
映画少年の夢―青梅市
絹の道往還―八王子市
旧友再会―神田・日本橋(千代田区・中央区))
著者等紹介
池内紀[イケウチオサム]
1940年兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者、エッセイスト。1966~1996年、神戸大、都立大、東大でドイツ語、ドイツ文学の教師。その後は文筆業。主な著書に『諷刺の文学』(白水社、亀井勝一郎賞)、『海山のあいだ』(中公文庫、講談社エッセイ賞)、『ゲーテさんこんばんは』(集英社、桑原武夫学芸賞)、など。主な訳書は、ゲーテ『ファウスト』(集英社、毎日出版文化賞)、『カフカ小説全集』(全六巻、白水社、日本翻訳文化賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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