光文社新書<br> アメリカ下層教育現場

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光文社新書
アメリカ下層教育現場

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  • サイズ 新書判/ページ数 259p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334034337
  • NDC分類 372.53
  • Cコード C0237

内容説明

アメリカ在住ノンフィクションライターである著者は、恩師に頼み込まれ、高校の教壇に立つことになった。担当科目は「JAPANESE CULTURE(日本文化)」。前任者は、生徒たちのあまりのレベルの低さに愕然とし、1カ月も経たないうちに逃げ出していた。そこは、市内で最も学力の低い子供たちが集まる学校だった。赴任第1日目、著者が目にした光景は、予想を遙かに超えていた。貧困、崩壊家庭と、絶望的環境のなかで希望を見出せない子供たちに、著者は全力で向かい合っていくが…。子を持つ全ての親、教育関係者必読のノンフィクション。

目次

第1章 体当たり(最初の授業;ジョージ・フォアマンの言葉;浦島太郎;相撲;集中力はもって50分;殴れたらどんなに楽か……;振り出し;しゃぼんだまと丙牛)
第2章 壁(白人の校長;トラビス;中間テスト;実の両親と共に生活している生徒は19名中1名;どうしても伝えたい内容;ヘスース)
第3章 チャレンジ(時間がない;ジャップ;ある強盗殺人事件;授業は“生き物”;アメリカの教育格差;銃;えひめ丸;国家;マービン・ハグラーの台詞;さらば教壇;8カ月後の再会―半数の生徒が退学)
第4章 ユース・メンターリング(教壇に立った経験を活かしたい;BIG BROT HER&BIG SISTER;20種類の誉め方;ヒスパニックの少年;苛めや暴力を防ぐ効果)
第5章 突然の別れ(転校;トレイナー・ミドルスクール;英語が母語の生徒は24名中4名)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

498
タイトルに「アメリカ」とあるので、これがアメリカの全体像だと誤解されないといいな、というのが読み始めの印象。教育免許のない日本人の著者が、ひょんなことから1学期だけ文字通り教育レベルの低い高校にて「日本文化」の教壇に立った、というのが現実。予想と違った内容なのは分かったので途中放棄しようとも思ったが、著者の生徒たちを思う気持ちとなんとかしてやりたいという熱意(文章もなかなか読ませる)に押されて完読した。彼の教え子だった19人の生徒たちのその後が気になるところだ。2021/10/09

ヴェネツィア

388
タイトルからは、アメリカの様々な教育現場をめぐるルポルタージュかと思っていたが、実際はアメリカの教育の一端が著者の体験的教育経験から語られるものであった。ネヴァダ州リノにあるチャーター・ハイスクールでの臨時講師としての1年弱の日々が綴られる。チャーター・スクールというのはそのままでは日本にはないようだが、主として低学力から普通の高校には通えない生徒たちのための学校のようだ。もちろん、彼らが低学力に甘んじている理由はそれぞれにあり、それはそのまま現在のアメリカが抱える社会問題を如実に反映した結果である。2020/09/12

James Hayashi

32
フリーライターである著者が、米国でメジャーリーガーを取材していたが、待遇の悪さに進路を考えていた矢先に教育者から声をかけられ、チャータースクールの日本文化の講師を短期体験されたもの。米国教育の全般やデータを見るなら「超格差社会アメリカの真実」の方が的を得ているかもしれない。此方は著者の実録的なものであり、一面的である。自分としては全米的なものやデータを期待していたので少し残念。2018/09/12

たまきら

30
アメリカでも珍しい学力が非常に高い公立高校に通っていた自分。SATの試験のためにDCの高校に行こうとして、そのエリアの治安の悪さに本当にびっくりした思い出があります。学校の門に金属探知機があるって…。ボルティモアにいたころは小学校に託児所がある(生徒用の)と聞き呆然としたり。教育の格差には本当に胸が痛みます。でも、誰かと出会うことで変われるきっかけを持てるのはみな共通。出会いの大切さをかみしめました。悲しい現実が描かれていますが、まっすぐですがすがしい一冊です。2020/09/07

ヨータン

17
アメリカの底辺高校の状況は、日本の底辺高校とは比べ物にならないくらい救いようがないと感じました。親が刑務所に入っていたり、麻薬中毒者だったり、売春婦だったりと親や社会に恨みしか持つことができない彼らに勉強の重要性を訴えても響かないのは当然。ただ、この筆者の熱意によりほんの一部の生徒ですが、変わり始めた生徒がいることに少し救われました。2016/08/06

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