内容説明
謎だらけの小説から誰も見つけていない宝物を探し当てることができるか。「自己神話化」するテクストを読む。
目次
第1章 『風の歌を聴け』(「僕」が彼女を救う物語;「僕」が鼠を殺す物語)
第2章 『1973年のピンボール』(忘れられる土地の物語;言葉の果てに行く物語)
第3章 『羊をめぐる冒険』(名前を探す物語;時間を探す物語)
第4章 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(「私」が時計になる物語;時計塔が地図になる物語)
第5章 『ノルウェイの森』(直子を「正しい宛先」に届ける物語;直子が「物語」を作るまでの物語)
著者等紹介
石原千秋[イシハラチアキ]
1955年東京都生まれ。成城大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程中退。現在、早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専攻は日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マエダ
73
村上春樹は賛否ある作者だが否の理由のほとんどが文章が苦手と拙い。本書は村上春樹を文学研究のテーマにあげ解説してくれているが、なるほどと唸る箇所が多い。ここまで読み込めたら面白いだろうなと感心してしまう。2018/10/17
momogaga
37
初めて村上さんの小説を読んだ時???なんて分かりにくいストーリーなんだろうと思いました。それが、今では読むたびごとに新しい発見を楽しみに読んでいます。この謎解きをヒントにして、もっと深く読んでいきます。2016/06/09
akihiko810/アカウント移行中
27
村上春樹の『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』の5作をテクスト論によって読み解く。印象度B+ 村上のデビュー以降の5作品。「鼠三部作」は『風の歌を聴け』しか読んだ記憶がない。読んだ記憶のある「風の歌」「世界の終り」「ノルウェイ」の3項目だけ読んだ。 「風の歌」は「ホモソーシャル」というキーワードで読み解くことができるという。この中では一番印象深い「ノルウェイ」の読み解きが面白かった2022/04/20
Daisuke Oyamada
26
本書は、村上春樹の『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』の5冊を取り上げ、著者ならではの謎ときというか、物語の分析や、登場人物の関係性や背景まで解析されています。 5冊のうちデビュー作から3作、俗に言われる「鼠三部作」は最近読んだばかりなので、そうかそうかとは思うものの、物語が奇抜すぎて内容がおぼつかないので、自分の中で・・・ https://190dai.com/2023/09/08/謎とき村上春樹-石原千秋/2023/09/12
との
24
kindle版にて。彼の授業を一度受けたいと思っていたけれど、叶いませんでした。小説を読むことを商売にしている人たちはこんな風に読むんですね。「小説を読むことは謎ときをすることだ。もしすべての謎がとかれたら、それはその小説の死である。」「小説のよい読者になれるかなれないかは、こういうところに『なぜ?』と引っかかれるか引っかかれないかにかかっている。」小説に出てくる言葉はすべて意味を持っている。銃が出てきたら引き金が引かれなければならない。私はあんまりよい読者ではないなあ‥。全然引っかからずに読んでいるわ。2018/01/03