光文社新書<br> ネオリベラリズムの精神分析―なぜ伝統や文化が求められるのか

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光文社新書
ネオリベラリズムの精神分析―なぜ伝統や文化が求められるのか

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  • サイズ 新書判/ページ数 328p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334034153
  • NDC分類 361
  • Cコード C0236

内容説明

市場至上主義、雇用の流動化、社会保障の縮小、ワーキングプア、格差、貧困、自己責任社会―。グローバル化経済のもと、多くの人々の生活が不安定化(プレカリテ)していくなかで、どのように個人のアイデンティティを保ち、社会を維持していけばいいのか?自分探し、心理学、お笑い、オタク文化、メディア・スピリチュアリズム、リアリティ・ショーの隆盛はいったい何を意味するのか?ラカン派社会学の立場から、現代社会、あるいは現代の人々がぶつかっている難問を記述し、処方箋の一端を示す。

目次

第1章 プレカリテとは何か?
第2章 再帰性のもつ問題
第3章 なぜ恒常性が必要なのか?
第4章 共同性を維持する現代の社会現象
第5章 電子メディアと解離的人格システム
第6章 文化の役割

著者等紹介

樫村愛子[カシムラアイコ]
1958年京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科社会学専攻博士課程満期退学。愛知大学文学部人文社会学科准教授。専門はラカン派精神分析の枠組みによる現代社会・文化分析(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

小鈴

4
再帰的社会論において再帰性を支える主体形成の理論が欠けているため、それを精神分析(理論)を援用して展開する樫村社会学理論。現代社会論としてなかなか精緻な議論しています(新書なのが不思議!)。タイトルで誤解を与えるが精神分析として読むのではなく、社会理論として読むことをオススメします。 社会の再帰性の暴走=形式合理性が実質合理性を侵食=マクドナルド化した社会が「存在論的安心」=「恒常性」を掘り崩すことを現代社会論として原理的に示し、その中でかろうじて共同性を生み出している現象について補足し2009/07/19

さっとん

3
再帰性が支配する時代で、一定の教育や文化のもとで主体は形成されていく過程を再帰性の内部では語ることができないという指摘は非常に面白い。その過程は再帰的ではないし、世の中が完全に再帰性に支配されるということはありえない。2018/10/22

ひろゆき

3
なぜ人はネットで自分をさらけ出すのか、日本に多い引きこもりという事象はなになのかといった、かねて疑問だったことの手がかりを与えてくれました。ただ内容が盛りだくさんすぎて、新書ではきついかな。初めて知ること多し。そしてまったく知らない学者の名前多し。軽くは読めない。本棚のしかるべきところにおいて、今後参照すること多いと思う。私は私であるという無意味な同語反復が意味を持つのは「意味の麻痺を通じて対象性の感覚を与えるからである。この対象の十全性を再度保証するのが文化である」。おおなるほど。2018/03/19

КИТАРУ МУРАКАМУ

3
所謂「文化」を巡る議論はお粗末。とってつけた様な村上春樹論、あるいはアニメ評論は新書とは言え、見ると心が痛む、いい加減過ぎて。とはいえ、再帰性と恒常性という基本かつ重要なタームを柱に議論を構築する姿勢は丁寧であるし、ここ最近のフランス現代思想の状況を紹介してくれることはとても有難い。2010/11/21

あなた

3
ラカンで社会を読み解くのはおもしろい。おもしろいけど、精神分析で社会を読み解いてそれが「リアル」な社会とどれぐらいコネクトできるかが精神分析のひとたちの語り口をみてるとどうにもいつも不安になってしまう。精神分析理論、信じすぎていないかなあと思ってしまった2009/07/13

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