光文社新書<br> 時間の止まった家―「要介護」の現場から

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光文社新書
時間の止まった家―「要介護」の現場から

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  • サイズ 新書判/ページ数 240p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334032920
  • NDC分類 369.26
  • Cコード C0236

内容説明

白髪に白ひげの老人かとおもえば、コロモジラミがびっしりたかっていた一人暮らしの老人。近隣からの苦情を尻目に、若き日の夢を封印したまま、倒壊寸前のバラック小屋に住み続ける男性。年老いた母親を上手に介護できずに心理的虐待をしてしまう娘。周囲から「なまけもの」と罵られ暮らしていたが、診察してみると「難病」だった男性。家族全員が共依存のため「保育園」のような生活をしている老夫婦と成人した子どもたち―。「介護保険制度」の導入に当たって、日本ではじめて設置された、福祉現場の係長級医師のポストについた著者が、基幹型在宅介護支援センターを拠点に訪問した「社会のうねりから取り残された」家の数々。都会のはざまの、人目にふれない超高齢化社会の風景から、「家」のもつ困難性を考える。他人事とは思えない報告。

目次

第1章 「物あふれ」と家
第2章 「生き物」と「衛生」と家
第3章 「一人暮らし」と家
第4章 「不安」と「介護」と家
第5章 「共依存」と家
第6章 「さすらい」と家

著者等紹介

関なおみ[セキナオミ]
1972年神奈川県生まれ。東京女子医科大学卒。小児外科医として大学病院勤務の後、介護保険制度開始前後の1999年より2002年まで東京都二十三区内の基幹型在宅介護支援センターに勤務。その後、保健所勤務を経て英国へ留学、リバプール大学熱帯医学大学院にて熱帯医学、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院にて疫学を専攻中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

90
2000年当時、在宅介護支援センターに勤務する医師が介護現場でかかわった「困難ケース」。時間の止まった家には、そこに時間を止めた(られた)人がいる。物にあふれた「ゴミ屋敷化」した家に、「はした金」と言って使わずに大金を置いている人。倒壊寸前のバラック小屋に住み続け、隣人からは煙たがれている男性。シラミが発生した家で口元の白髪にコロモジラミを飼っているおじいさん、アンモニア臭で涙目になってしまう猫の糞尿にまみれた家。次から次と想像を超えた人々がスナップショット的なエピソードで登場する。→2021/12/25

Humbaba

5
介護というのは簡単にできることではない.例え気持ちの上ではしっかりとやろうと思っていても,うまくいかないことも少なくない.また,一人で暮らしている高齢者は,そもそも介護が必要であるのにそれを認識できていない人も多い.2012/02/08

banguicity

3
福祉の現場での「困難ケース」ドキュメント24編である。ゴミ屋敷から共依存、一家全員が精神疾患、などタイトルを見ただけでうげっとなってしまうものも多い。外野からは悲惨に見える一家の状況も、一歩中に入ればそこに至る経緯があり、奇妙な安定状態がある。福祉関係者がそこに入り込むには、『「知恵と勇気」で立ち向かうしかない』。大半の章はオチもなく終わるが、福祉とはそういうものだろう。入れ込みすぎず、無関心ではなく、筆者の適度な距離感が、このドキュメントを読みやすくしている。2017/09/07

seichan

3
とっちらかって壊れた、高齢者の独居住まいの、写真の数々。現場からのこういう報告を見ると、ほんとに頭が下がる思いとともに、行く末がふと恐ろしくなった。2014/11/19

グッキー

2
考えたくはないが大なり小なり誰もが直面する現実。若い頃から老後に対する想像力を働かせる機会を作るべき。2013/03/31

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