内容説明
民族、宗教、家族、二極化、戦争…。19世紀の「あの人」が解く21世紀の超難問。
目次
序章 マルクス、二一世紀の東京に現わる
第1章 「二一世紀型」マルクス主義とは?
第2章 世界についてどう考える?
第3章 民族や宗教についてどう考える?
第4章 「他者」についてどう考える?
第5章 労働者についてどう考える?
著者等紹介
的場昭弘[マトバアキヒロ]
1952年宮崎市生まれ、慶応義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。一橋大学社会科学古典資料センター助手、東京造形大学助教授を経て、現在、神奈川大学経済学部教授。神奈川大学図書館長。「アソシエ21」事務局長
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感想・レビュー
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白義
18
マルクスから読む現代思想であり、現代思想から読み直すマルクスでもある。いわゆる「新しいマルクス」の流れを手際よくまとめていて、マルクス自身のオリエンタリズムを批判しながらもポスコロやフェミニズムやレヴィナスの他者論を今日の資本主義批判に繋げるのはうまいが、やや現代化されすぎてマルクスである強みが薄れているような。スピノザのマルクスに対する甚大な影響を指摘したり、南北戦争観に触れたり横道の方が面白い。優等生的にまとめようとして小さくまとまりすぎた欠点はあるが現代思想的マルクスの入門に○2013/11/17
シュラフ
15
正しいタイトルは「マルクス経済学者が読み解く現代社会」とすべきだろう。マルクス経済学の2つの性格、社会科学としての側面と思想としての側面。現代のグローバル経済への問題解決を思想としての側面から論じているのだが、正直のところあまり腑に落ちない。少し無理がある。言わんとするところは分からないでもないのだが、例えば著者の言う 国を超えた労働者の連携など というのは本当に実現可能なことなのだろうか。マルクス経済学はあくまで社会科学としてとらえるべきで、あまり無理な理屈づけでイデオロギーとすべきではない。2015/06/24
ざっく
9
2004年の本。内容は、『人新世の資本論』に似ているかな。資本主義は、無限の欲求を満たすために無限の生産力を目指すが、共産主義は、小規模の生産力によって小規模の欲求を満たす社会になる。ただ、共産主義を実現するには、軍事面の問題を解決しなければならない。国という単位がある限り、軍事的な問題は付き纏い続け、軍事的優位を保ち続けるには、生産力を高め続けないといけない。日本は資本主義でありながら共産主義に近づいてきているように感じ、他国に侵略されていない今であれば、バランスが一番良いのかな。2022/08/15
篠田イツキ
9
マルクスが今日の日本に降り立ったら、なんて思うだろうか…なんていうファンタジー?な一冊。 マルクスとはなんぞやということをいまいち理解していない私であるが、なんとなくの理解でも十分に読み進めることはできるし、解説も丁寧。一度、腰を据えてマルクスとはきちんと向き合わなければなぁという想いは強くなるばかりである。2019/03/01
Verte
5
65 そもそも個人の能力は集団の能力によって生み出される 集団の能力を個人の能力に還元することこそ資本主義の精神2017/07/19