光文社新書
大本営発表は生きている

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  • サイズ 新書判/ページ数 225p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334032425
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0221

内容説明

大本営発表を定義づけるなら、「太平洋戦争の期間中、陸軍・海軍の統帥機関である大本営が国民に向けて発表した戦況報告」ということになる。しかし、あの時代「大本営発表」は、単なる戦況報告を超えて権力そのものだった。国民は外からの情報がシャットアウトされた空間に押し込まれ、意図的な情報のみを一方的に押しつけられた。そして、そのあげくに、日本は解体寸前にまで追い込まれたのである。往事の軍部指導者は、なぜ「客観的事実」を見ることなしに事実を糊塗しようとしたか、その表現はなぜあれほど無味乾燥な画一性をもっていたか、そして当時の国民は大本営発表に対してどのような反応を示したか。これらの問題点を、今改めて問うことが必要ではないだろうか。

目次

第1章 内容とその特徴(第一回目の衝撃;「からだが透明になるような感じ」 ほか)
第2章 組織とその責任(表の業務、裏の業務;言論弾圧の最前線 ほか)
第3章 思想とその統括(悩める知識人;東条がつくった国民囲い込みの「外壁」 ほか)
終章 大本営発表の最期(シビリアンコントロールの「産みの母」;マスコミ、そして国民が問われるべき責任)

著者等紹介

保阪正康[ホサカマサヤス]
1939年、北海道札幌市生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業後、出版社勤務を経て著述活動に入る。日本近代史(とくに昭和史)の事件、事象、人物に題材を求め、延べ四千人余りの人々に聞き書きを行い、ノンフィクション、評論、評伝などの分野の作品を発表している。また、医学・医療を社会的視点から問い直す作品も発表している。現在、昭和史の資料や証言を次世代にのこすべく「昭和史を語り継ぐ会」を主宰、年二回の『昭和史講座』、年一回のブックレットを刊行している。立教大学非常勤講師、朝日カルチャーセンター講師を務める
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しゅわっち

11
全部読まなかった。真実を伝えないために戦争が長引き、原爆が落とされた事実は変わりない。メディアは、謝罪もない。現在、人の命はとられないが、記者クラブとしてシステムは生きている。政治家批判はするが、官僚優先で、国民が、暮らしを良くするための報道はされていない。周辺の人と和を重んじる国民性で、国民全体のために真実を伝えるのは、無理なのだろうか。 何か情報に対するいい本を見つけ、教科書にして教育しない限り変わらないと思ってしまう。2019/04/05

たこ焼き

1
筆者の分析は単純な大本営批判で少々浅いが、本書で提示されている史実は様々な示唆を与えるものである。 うまくいっているとき=報告が多くなる。挫折しているとき=戸惑いから報告が少なくなる。挫折がつづく=虚飾にまみれた報告の増加。終盤=沈黙。嘘もネタがなくなる。 嘘の発表は、具体的ではなくなるが、形容詞が多くなる。 成功している時は、主語は自分である(手柄を主張する)一方、失敗している時は主語は自分が属する組織(責任を分散化させる)に向く。 失敗のときは、相手にどれだけの損害を与えたかという具体的情報はぼかされ2016/07/14

ヤマダ

0
特に新しく得る知識はなかったけれど、軍艦マーチの後に流れる大本営発表。実にオーウェル的だなあと改めて実感。大本営的な虚構への耽美、僕らの時代から言えば狂気だけれどその辺はどうなんだろう。筆者は歴史的必然だとは考えてないようだけれど僕は日本の組織・メンタリティには付き物の歴史的必然だと思います。そういう意味で戦時中の日本の戦争指導を見直すということは極めて現代的な意味を持つ作業だと思う。いずれにせよ堀栄三の「大本営参謀の情報戦記」は大戦の実相を知るには素晴らしい史料だなあ、と思いました。2012/01/24

湘南☆浪漫【Rain Maker】

0
戦争を正当化し、国民を真っ直ぐしか向かせない。 士気高揚の方法が完全に間違っているけど、誰も修正できないまま終わりを告げる。 悲惨というしかない。2018/12/05

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