内容説明
最近、どこかの街角で、人力俥が通りすぎるのを見たことがないだろうか。まるで白日夢のように、晴れ渡った空の下、カラカラと車輪を回しながら、屈強な男が車を引いて走り去る。あれは上野か浅草か、いや京都だったろうか。かつて日本中に二十二万台あったといわれる、日常交通としての人力俥ではない、観光ガイドを兼ねた平成の人力俥、いわゆる「観光人力俥」が今彼方此方で元気に走り回っている。なかでも湘南の古都鎌倉を走る観光人力俥は、箱根の東側ではもっとも古い二十年の歴史を持つ。その二十年の歴史を切り開いてきたのが、鎌倉有風亭の青木登である。
目次
第1章 現代に生きる人力俥(人力俥とは?;観光人力俥;鎌倉人力俥夫;現代の人力俥と俥夫の技術)
第2章 鎌倉人力俥巡り(北鎌倉コース;旧鎌倉コース;太平記コース;扇ガ谷・長谷・由比ヶ浜コース)
著者等紹介
青木登[アオキノボル]
1948年、茨城県生まれ。サラリーマン生活を経て、84年1月に北鎌倉で観光人力俥業を始める。屋号は「有風亭」。日々の節制とトレーニングに支えられた体力と、ベテランならではの豊富な知識、味わい深い語り口は、他の追随を許さない。2003年には開業二十周年を迎える。観光人力俥の第一人者である。普段の客待ち場所は、北鎌倉円覚寺前。夏期はほとんど草津温泉に出張している
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感想・レビュー
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リョウ
7
人力車の歴史、そして鎌倉観光の両方を知ることができるちょっと面白い本。かつては人々の足だった人力車が廃れたかと思うと、観光用として蘇ってきているというのは興味深い。確かに、昔ながらの日本の都市の観光には人力車がよく似合う。しかし、地域との関係性などの課題もあり、業者、利用者ともに考えなければいけないと思う。2016/04/18
Guro326
0
こんな本があったとは。後半が語りおろし調の観光ガイド。2013/11/22
syuko
0
本当に人力車に乗って案内されている様な語り口。著者が心からこの仕事を好きでしているから出来る案内なんだろうなとおもった。鎌倉に行くと客引きが鬱陶しくて避けていた人力車だけど、有風亭の人力車だったら乗ってみたいなと思いました。2011/05/11