内容説明
一九五〇年代には未だカメラ専業メーカーであった、キヤノンの奇跡ともいえる六〇年あまりの歴史に、丸島の展開してきたビジネスはどのような役割をになったのか。企業戦略として特許を活用するとは、具体的にどのようなことなのか。昭和九年生まれの日本人が、朝からステーキを喰うアメリカのビジネスマンたちとどのように渡り合ってきたのか。そして私たち日本のビジネスパーソンは、特許あるいは知的財産権をどのように考え、仕事に生かすべきなのだろうか。
目次
第1章 巨人ゼロックスとの闘い(キャノン、多角化への野望;シンクロリーダー ほか)
第2章 戦略的特許ビジネスとは(NPシステムの展開;世界初の液乾式PPC ほか)
第3章 交渉(海外体験;屈辱の旅発ち ほか)
第4章 何のためのプロパテントか(プロパテント政策とは;アメリカで始まったプロパテント政策 ほか)
著者等紹介
丸島儀一[マルシマギイチ]
1934年東京生まれ。’60年3月早稲田大学卒業後、キヤノンカメラ(現キヤノン)に入社。’72年特許部長、’83年取締役就任を経て、’99年に専務退任。現在は同社顧問。入社以来、特許一筋の「特許人生」を歩み、複写機やプリンターの成功を、特許部門から支える。ゼロックス、IBMといった米大企業との交渉では、卓越した手腕を発揮した
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感想・レビュー
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白義
20
キヤノンの特許戦略史の上でも語りぐさになっているゼロックスとのコピー機特許戦争や、日本の特許戦略のあり方など、特許ビジネスのナマの視点と提言を教えてくれる一冊。「特許は開発の源流に入れ」という言葉に象徴されるように、特許がいかに会社の発明やアイディアを守り、市場に乗り出す上で本質的なものか、そのためにはいかに特許担当者も技術を理解しなければいけないのか、という根本的な考え方が書いてある。テンキー式の電卓の真価を見出だせず、特許出願に失敗した話や、クロスライセンス戦略のやり方など具体的かつ根本的な指摘が多い2020/04/23
501
17
キヤノンといえば特許戦略で有名。タイトルからその企業努力の片鱗を見せてくれるものと思ったらその部分はあっさり気味で、丸島さんの特許に対する思索が大半だった。特許といっても自分が作った知的財産への権利を守るものというくらいの知識しかなかった自分にとって企業戦略の要となるダイナミックなものであることが分かっただけでも、期待とは違った内容だったけど読んでよかった。2016/10/23
魚京童!
14
ニコン派なんで。2019/07/14
月世界旅行したい
13
ゼロックスなど他の会社視点も見たい。2015/04/19
りょう
11
時の複写機業界の王者ゼロックスの牙城を、キヤノンはいかにして切り崩すしたか。知財に関わる話で必ずといっていいほど例に出されるキヤノンの特許戦略。特許は研究開発の片手間でやるものではなく、事業戦略の一角を担うものなのだということを再認識させてくれます。なかなかわかりにくい知財の仕事を知る良いキッカケになった。2014/02/10