カッパ・ビジネス<br> 昭和天皇の悲劇―日本人は何を失ったか

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昭和天皇の悲劇―日本人は何を失ったか

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  • サイズ 新書判/ページ数 194p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784334012304
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C0230

内容説明

今日、日本及び日本人一人ひとりのいのちと繁栄があるのは、昭和天皇が1945年にとった重要かつ当時としては危険でもあった「聖断」のおかげである。にもかかわらず、日本人は第二次世界大戦が終ってからというもの、自分たちのもつ天皇に驚くほど関心を払わないできた。昭和天皇の崩御は、天皇制が日本に及ぼしてきた大いなる影響を考えなおす、おそらく最後の機会であろう。

目次

第1部 日本を守るために昭和天皇が背負った悲劇(デモクラシーを守るために戦争を選んだ昭和天皇の悲劇;日本人の根本理念が生んだ昭和天皇の悲劇;国民とともにあったがゆえの昭和天皇の悲劇)
第2部 奇蹟の陰にひそむ昭和天皇の悲劇(昭和天皇の「聖断」がもたらした奇蹟;革命と戦争を粗大ゴミにした昭和天皇の奇蹟;昭和天皇とキリスト教の驚くべき類似)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nobody

13
私は小室直樹の崇敬者であることを最初にお断りする。さて皆様にぜひ覚えておいていただきたいのは「天皇は輔弼の臣が一致上奏したことはたとえ意に沿わぬことでも裁可せざるを得なかった、従って開戦責任はない」と主張する者は、上奏の前段として「内奏」ー「御内意」という調整段階があり天皇の意向を汲んだ上でしか正式な上奏の形をとらぬことを意図的に隠し皆様を騙そうとする詭弁家であるということ。1938年の張鼓峰事件の際天皇は参謀本部と陸軍省一致の対ソ武力行使案を「今後は朕の命令なしに一兵だも動かす能わず」と激怒し却下した。2018/09/15

軍縮地球市民shinshin

10
日本は戦前から立憲君主を採っていたことはあまり知られていない。帝国憲法に天皇は神聖にして侵すべからずなんて書いてあるから、左翼は「絶対主義天皇制」と喧伝して誤った像が戦後は広まってしまっている。天皇大権を発動することができるのは、政府機能が麻痺している状態でしかありえない。226事件は内閣が反乱軍によって壊滅させられていたし、終戦の時は鈴木貫太郎首相がいわば判断を天皇に投げてしまったのだ。ただ小室博士は社会科学者なので史実を元にした解釈よりも理論が先行していると感じた。2016/08/20

めっかち

3
本書の初版は、1989年2月28日発行。「まえがき」には、昭和64年1月7日との記載がある。緊急出版といって差し支えなかろう。本書のポイントとしては、「昭和天皇が戦争を裁可されたのはデモクラシー(の前提である立憲主義)を守るため」というのと、「昭和天皇が謝罪なさらなかったことで、急性アノミーが防がれた」という2点でなかろうか。他にも「言論の自由」や「二・二六事件」についても面白かった。やっぱり「天皇制」を理解する上で、キリスト教は良い補助線になるね。2022/08/18

aki

3
戦前、日本政府の意思決定システムが、きちんと作動しているとき、天皇は内閣が決定して上奏したことを、そのまま裁可した。それが憲政の常道だ。意思決定システムが機能不全を起こして作動しなくなったとき(2・26事件時と太平洋戦争末期)は天皇が聖断をくだした。太平洋戦争開戦時は意思決定システムが作動していたから、天皇としては裁可せざるを得ない。天皇の戦争責任を問うのはナンセンスということになる。ニューマ(空気)、アノミーなど小室用語の切れ味は相変わらず。もっと、いろいろな事象に対する小室の見解を聞きたかった。2018/10/13

sasha

3
「昭和天皇に戦争責任があると言う人って、ちょっとおかしいんじゃないの?」という作品。議会の決定に天皇が異を唱えたなら、それは議会制民主主義ではなく独裁国家であるというのには納得。でも、本当のところ、昭和天皇自身はどのように感じていたのだろうか。2014/01/23

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