目次
1章 アメリカは中東で自爆した
2章 呪われた土地・パレスチナ
3章 イスラム教とキリスト教の宿命
4章 アッラーは近代化を禁じた
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おおにし
12
1990年刊。イスラム教とキリスト教との違いを明確に解説している。曰く、平和的なイスラム教vs戦闘的なキリスト教、「善をなせ」と規範的なイスラム教vs無規範的なキリスト教。イスラム教徒には死後の楽園行きが示されているが、キリスト教徒には永遠の生命しか示されていない…などなど。最近ではイスラム教とキリスト教を比較解説する本が多く出版されているが、湾岸戦争の頃に類書は少なく小室さんの本は貴重だったと思う。2021/07/09
otakichi
1
イスラム教って、平和を旨とするまともな宗教で、他宗教に寛容ということもわかる。「右手に剣左手にコーラン」というのは嘘だった!常識を2009/12/16
MIRACLE
0
イラクのクウェート侵攻(1990年8月)について、国際政治と比較宗教学からの分析をふまえて、日本が中東問題で果たすべき役割について提言した本。後年の「宗教原論」「イスラム原論」の論点(宗教は行動様式、イスラム教は宗教理解の座標軸など)が、本書の段階で登場している。このことは、くれぐれも銘記する必要がある。2016/09/02
がんぞ
0
キリスト教より後に出ただけに民俗的要素を排除して合理的で(ムハンマドも一箇の人であり奇蹟を一つも起こさなかった)、若い宗教だけに熱がありキリスト教を尖兵とした大航海時代以来の殖民地支配、白人優位に対する民族独立の精神的支柱ともなった。現在最大のイスラム国はインドネシアである。キリスト教のような曖昧な道徳律の無規範宗教を見馴れた日本人には規範宗教という概念が分かりにくいが、主=アッラーという極点を設定することで《人世、人生の難問題》に明快な回答が示される。二三百年の歴史しかない資本主義は敗北するかもしれない2012/07/30