内容説明
直江山城守兼続の養女伽羅に本多佐渡守正信の次男正重との縁談が持ち込まれた。これを嫌った兼続は、大谷刑部の忘れ形見左兵衛を婿として迎えた。が、腑抜けで覇気のない左兵衛に怒った伽羅は、直江四天王に彼を鍛えよと命ずる。ユニークな個性の持ち主で一筋縄ではいかない強者4人、伽羅の婿になりそこねた正重、その左右を守る宮本武蔵、佐々木小次郎までもが加わり、奇想天外な騒動が繰り広げられる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
15
いやあ、面白かった。これは、忍法帖ではなく、太閤記や金瓶梅と並ぶ「妖説」シリーズか?読後感としては、突飛だが「戦国・明治物」と呼びたい。同好の士なら、納得してくれると思う。読んでしまったので、自分には関係ないが、題名で損している、と思う。現今ではヒョットしたら上杉謙信より知名度、人気の有る「愛・直江兼続と花の前田慶次郎」がでてくる娯楽巨編である、ブームになっても可笑しくはあるまい。前田慶次郎に関しては隆慶一郎より此方が早い!資料からの逸話も殆ど重複しているのに、雰囲気は大分異なる。続く2014/01/13
星落秋風五丈原
10
前田慶次郎利太は「花の慶次」で知られ、洒落者で豪傑というのが通説だが、ここでは倒した敵に小便をかける困った癖の持ち主として登場。「犬か君は」と突っ込みを入れようとしたら、自分で「まるで犬のようでござるがな。あははははは!」と一人ツッコミを入れていた。や、やられた…(脱力)。上泉主水泰綱は、剣聖上泉伊勢守の息子だが、ひどい女性恐怖症。西洋好きの大久保長安(『忍法封印いま破る』)に誘われてサウナに入るが、熱さと女性の接近という事態に、気絶。馬鹿馬鹿しい騒ぎの下に、或る者の実にシビアな戦いが繰り広げられていた。2007/05/31
hirayama46
4
兼続に使える直江四天王を中心に、宮本武蔵や佐々木小次郎、さらに加藤清正や福島正則といった大名たちをも巻き込んでいく長編。全体的にはスラップスティックコメディ風味ですが、ラストのミステリ的な上手さや独特の哀感・無常感は得難いものでした。/武蔵と小次郎が麻雀にはまって身を持ち崩す小説は他ではまずないでしょうね……。前田慶次はわりと『花の慶次』そのままでびっくりでした。2018/05/23
冬至楼均
3
自分の中の直江山城守のイメージを固めた作品。そんな訳で今の大河にはどうしても違和感がぬぐいきれない。2009/05/05
葉月あき
3
再読。途中のアホらしいほどの展開から、こんなラストになるなんて誰が想像できるだろう。2008/12/08