全体芸術様式スターリン

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  • サイズ B6判/ページ数 262p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784329004116
  • NDC分類 702.38
  • Cコード C0010

内容説明

社会主義リアリズムはアヴァンギャルドの精神から生まれた!ロシア・アヴァンギャルドはスターリン権力によって闇に葬られたという通説を打ち破り、現代ロシア文化の最先端を解読する。

目次

はじめに―スターリン文化をどう記述するか
第1章 ロシア・アヴァンギャルド―進歩を越える跳躍
第2章 スターリン流“生の技術”
第3章 ポストユートピア芸術―神話から神話系へ
第4章 下意識のデザイナーとその観衆

著者等紹介

古賀義顕[コガヨシアキ]
1969年東京都生れ。現在東京大学大学院人文社会系研究科博士課程在学中。ロシア言語文化専攻。訳書 亀山郁夫・大石雅彦編『ボエジア・言葉の復活』(共訳、国書刊行会)、沼野充義編著『イリヤ・カバコフの芸術』(共訳、五柳書院)

グロイス,ボリス[Гройс,Борис]
批評家・芸術理論家。1947年東ドイツに生まれ、レニングラード大学で数学と哲学を学ぶ。1976年から1981年までモスクワ大学構造言語学部で研究員として勤務。70年代半ばから非合法雑誌への執筆や編集を手がけ、ハイデガーの翻訳紹介をはじめとしてソ連国内でいちはやくデリダ・ドゥルーズなどの西欧現代思想を紹介する。81年に西ドイツに亡命。現在ミュンスター大学附属哲学研究所助教授としてドイツに在住。現代を代表するアーティスト、イリヤ・カバコフとのコラボレーションも多い。主著に「全体芸術様式スターリン」(1988年)、「新しさについて」(1992年)、「コレクションの論理」(1997年・ミュンヘン)ほか美学・思想・美術評論など多数
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しゅん

10
ロシアアバンギャルドと共産主義の政治運動に同等のものを見出すことで既成のロシア芸術に対するイメージを覆す。つまりスターリン時代の社会主義リアリズムはアバンギャルドの反動ではなく、論理的帰結であるということ。体制⇄反体制の単純な構図を詳細に見通すことで複雑な様相を露わにする。まだ整理できていない部分もあるが、非常に勉強になった。社会主義リアリズムとブラートフ、カバコフなどのスターリン以後の芸術(ポストユートピア芸術)との関係がまだよくわかっていないな。2018/08/28

保山ひャン

4
ロシア・アヴァンギャルドと社会主義リアリズムは相反するものでも対立するものでもない?芸術と党権力の親和性を暴いて刺激的だった。ポスト・ユートピアの作家として、エリク・ブラートフ、イリヤ・カバコフ、コーマル、メラミート、ドミートリー・プリーゴフ、ソローキン、サーシャ・ソコロフの名前があがっていた。読まねば。2017/02/12

oDaDa

4
論点を要約するならば、①ロシア・アヴァンギャルドの無謬性という神話の破壊 ②アヴァンギャルドと社会主義リアリズムの連続性への着目 ③ソヴィエト芸術家のもつ権力志向性 ④ポストユートピア時代の芸術のスターリン主義的特質。ボリシェヴィキの革命家にとっての国家建設とアヴァンギャルドの芸術創造は構造的な同一性を持っていたとするアプローチが面白かった。「少なくとも美学の面でスターリンを反復することなくスターリンから解放されることはもはやできない。だからこそ新たなロシア芸術はスターリンを美的な現象として了解し、スター2016/04/16

毒モナカジャンボ

1
ロシア革命によって登場した新しい国家は史的弁証法の教える通り歴史を克服しており、そこには歴史のゼロ地点から立つ新しい人間が生まれるべきなのだが、ロシア・アヴァンギャルドの芸術家たちはその歴史の総括の仕方において新しい国家から悪い意味で超越しており、なおかつ歴史に依存することによって自らの試みを正当化せざるを得ないという欠点を持っていた。社会主義リアリズムは彼らの権力志向を自らが権力であることで批判的に回収し、全てをスターリンという統一された夢(それはレーニンの死体によって正当化される)に従属させる。2021/02/27

フクロウ

0
19世紀末の象徴主義、アヴァンギャルド、社会主義リアリズム(スターリン主義)、雪どけ時代…といった類型交代論のパラダイムを打ち破り、むしろアヴァンギャルドが社会主義リアリズムに継承されたことを論じる本。特に「生の創造」にこだわったアヴァンギャルドが全体主義権力に絡め取られる一方で、デミウルゴス的理想が現実のスターリンに乗っ取られる形でアヴァンギャルドは社会主義リアリズムに換骨奪胎されてしまったのである。社会主義リアリズムは終末論である。それを乗り越えるのは歴史に還ることではなく、独裁者の誉め殺しである。2021/11/15

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