内容説明
「日本の英語」は、どこでボタンをかけ違えたのか。軽妙な筆致で綴る、知的刺激に溢れる好エッセイ集。独自の着眼点で、“来し方”をふり返り、“行く末”に思いをめぐらす。紡ぎだされる「記憶の記録」。著者渾身の書き下ろし。
目次
1(教養;翻訳;留学;著作権)
2(パラグラフ;文法;英文解釈法;スピーキング)
3(ニュー・クリティシズム;パブリッシュ・オア・ペリッシュ;講義・ノート;読書会)
4(悪魔のことば;辞書;ことわざ;英語の先生)
5(夏目漱石;萬年筆;知識・思考・創造;『英語青年』)
著者等紹介
外山滋比古[トヤマシゲヒコ]
1923年愛知県生まれ。東京文理科大学英文科卒業。お茶の水女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mizuki
27
これまでの日本人がどのようにして、外国の文化を取り入れてきたのかが、分かりやすく説明されていました。英語が話せるようになるためには、日本語の土台をしっかり作らなければいけない!それなのに、まだ日本語を学んでいる途中の小学生に英語を教えるなんてと、著者の意見もしかり。昔からの教育のやり方を、頑なに変えようとしないのは、文部科学省のせいかしら⁇2018/12/23
禿童子
24
全体にエッセイ調で薄いつくりの本だが、啓発されることが多い。夏目漱石の「文学論」は学生の講義ノートが元になっているため難解で漱石自身が不満足だったこと。当時のイギリスの大学には英文学の講座がなかった(20世紀になってから)のは、文学の解釈を学問として認めない風潮があったから。社会学と心理学の見方を取り入れた漱石の「文学論」は幼稚な日本の(東大の)大学生には理解できず排斥運動も起きたので、漱石はそれ以上「文学論」の追求には進まなかった。戦後の新制大学が旧帝大と旧制高校と師範学校を合体して出来たこと。(続く)2018/08/21
羽
22
著者の追悼展示で気になった本書。“これまでの百年に、英語、英文学がなしとげたことをふり返ってみる”とあとがきにあるように、日本の英語の盛衰や英語教育の変遷などをまとめたエッセイ集。日本人が英文解釈が苦手な理由、夏目漱石の『文学論』はなぜすごいのか、OEDがなぜ有名なのか、外国語学習の効能など、目を開かれる話が多数ありました。著者は大学の英文学科の減少を懸念していましたが、たとえ英文学の人気が衰退しても、それを学んだ者として、わたしは一生付き合っていきたいと思いました。2020/08/07
kubottar
20
他言語を学ぶと別の切り口でモノを観ることが出来る。2021/06/06
Riopapa
12
人生の一時期を英文学にかけ、英文学を捨てて、英語教師として生きている人間としては、なんとも言えないほろ苦い内容であった。漱石の偉大さにあらためて感服。2018/05/26