内容説明
すべての人間は透明な言葉を生むようにできている―。気鋭の精神科医が豊富な臨床経験をもとに、日本語に潜む神経症性を徹底分析。言語の作用や日本語の特性に目を向ける作業から始めて、そこから炙り出されてくる近代以後の日本人の姿を問い直し、近代的な輸入概念である「個人」「社会」「個人主義」といったものについても、精神性の根幹において本当に受容していると言えるかどうか、あらためて考える。
目次
第1章 日本語と日本人(「あなた」とyouは同じか;普遍的人称代名詞を基盤とする社会 ほか)
第2章 「世間」と言葉―「世間」内言語について(モノローグ的世界;察する文化 ほか)
第3章 自他の区別(0人称の自他;「経験」からの逃避 ほか)
第4章 個人主義と利己主義(夏目漱石の「私の個人主義」;「個人主義」とは何か ほか)
第5章 日本語で「私」を生きるために(「主語」を立てると何が起こるか;一人称を生きる日本人の言葉 ほか)
著者等紹介
泉谷閑示[イズミヤカンジ]
1962年秋田県生まれ。東北大学医学部卒業。精神科医。東京医科歯科大学医学部附属病院医員、財団法人神経研究所附属晴和病院医員、新宿サザンスクエアクリニック院長等を経て、現在、精神療法を専門とする泉谷クリニック院長。1999年フランスに渡り、パリ・エコールノルマル音楽院に留学。パリ日本人学校教育相談員をつとめた。これまでに、学会等での講演やカウンセリング講座の講師、短大・専門学校等で精神医学や心理学の講師をつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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