出版社内容情報
団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降、医療需要と認知症高齢者のさらなる増加に備え推進される地域包括ケアの展望を問う。前著『安倍政権の医療・社会保障改革』以降2年弱の医療・社会保障制度改革の動向を歴史的な視点から包括的・複眼的・実証的に分析、地域包括ケアと地域医療連携を統一的に検討する。
内容説明
地域包括ケアで医療・介護費は抑制されるのか?地域医療連携で病床は大幅削減されるのか?最新資料と歴史研究で将来を大胆に予測。地域包括ケア実現の条件を問う。
目次
第1章 地域包括ケアシステムの展開と論点
第2章 地域医療構想と病院再編
第3章 2000年以降の医療・社会保障改革とその加速
第4章 日本における混合診療解禁論争と「患者申出療養」
第5章 リハビリテーション医療と健康・予防活動の経済分析
第6章 2012~2014年の保健・医療部門の学術研究の回顧と展望
著者等紹介
二木立[ニキリュウ]
1947年生。1972年東京医科歯科大学医学部卒業。代々木病院リハビリテーション科科長・病棟医療部長、日本福祉大学教授・副学長等を経て、日本福祉大学学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coldsurgeon
6
最近読んだ医療経済学に関する書籍で一番面白かった。特に第5章は秀逸です。健康予防活動が、短期的には医療福祉費を抑制するが、長期的には増大させるという、多数のエビデンスが提示され、面白かった。脳卒中早期リハビリテーションにより寝たきり老人は減り医療福祉費は短期的には確実に減少し余命延長が期待できるが、寝たきりを脱した患者には様々な基礎疾患があり、何らかの障害が残ることが普通なので、延長した余命期間に、脳卒中が再発したり寝たきり化する確率が高いため、累積医療費が増加する可能性が高い。医療費は増大する一方。2015/12/24
Tatsuya Michibata
3
地域包括ケアについてきちんと勉強しようと昨年購入していたのですが、今まで本棚に立てておりました。昨日、今日の2日で読了。歴史的な流れがわかりやすく(と言ってもややこしい)まとめられておりました。最後の章の文献紹介はこれから勉強するのに役に立つと思います。2016/08/02
大西正志
2
2014~2015年、厚労省医療政策の批判的解説。健康寿命延伸で医療介護費は抑制されるか?→エビデンスはなく海外の先行研究では否定的、など医療経済学の視点で鋭い。2018年読んでもふるさを感じさせない知見。2018/04/28
みうら
1
地域包括ケアシステムが創設された経緯を医師の立場から述べられている。後半は医療の内容に深く踏み込んでおり、未読。2023/10/25